物語

□紅のガルディオス伯爵夫人
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☆紅のガルディオス伯爵夫人


ルークと呼ばれていた少年は、今はアッシュと名前を変えてダアトにいる。
このアッシュには秘密があった。
それは今は女性である事。
元々はちゃんと男性だったのたが、レプリカ情報を抜き取られた時、何故か身体が変化していた。
それが受け入れられなかったアッシュはヴァンにも言わずに隠していた。


それから数年が経ち、特務師団長となったアッシュがマルクトに単独任務で行った時、1人の男と出会った事でまた人生は大きく変わった。

男はアッシュを一目見て高揚した表情を浮かべた。
そして抵抗する間も与えぬ隙のない動きでアッシュを自分の屋敷に連れて行き、プロポーズした。
アッシュは驚いて暫し固まってしまった。
アッシュは厚手の男装していたし、元々男だった為か背も女性にしては高くて筋肉もある。
声だって努めて低くしていたのに、何故判ったのだろうかと戸惑いながらもアッシュはプロポーズを断った。

理由は幾つもある。
自分が元は男だった事。
ナタリアを愛している事。
……ローレライの力を持つ化け物である事。
何より彼はマルクト貴族で自分はキムラスカ王族の血を引く人間だ。
しかも彼はガルディオスと名乗った。
父が攻めたホドの人間。
ファブレを憎む権利のある人間。
なのに………。

「俺はお前がいい。例えお前がキムラスカの、いや、王族に連なる人間でもだ。」
「なっ!?にを」
自信満々に言う男にアッシュは何故という言葉で頭が一杯になった。
「ナメるなよ。俺はマルクト海軍の中でもトップと言われたガルディオスの名を継ぐ者。キムラスカの王族の特徴も顔や名前も把握している。それほどに見事な紅毛と翠の瞳がキムラスカ王族以外にあるものか。だが、それが判っていてもお前が嫁に欲しい。だから、嫁に来い。後悔はさせない、絶対に幸せにする…とは言い切れんが、少なくとも俺は幸せになる。」
「な…んだよ。それ。」
緊張が最後の言葉で一気に緩んだ。
「俺はお前をまだ良く知らんからな。それで絶対などとは言わん。だが、努力は出来る。一緒に居たい。居て欲しい。一緒に笑って、一緒に悩んで、一緒に苦しみや悲しみに立ち向かっていきたい。お前を守っ……。」
「や、止めろ!!止まれ!!」
今までこんなにストレートに愛を告げられたり、自分を愛情から必要と言った者はいなかったので、アッシュは真っ赤になって目が回るほど頭がパニクった。
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