夢の世界へいざ行かん!
□VERY CHRISTMAS
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借りたビデオを全て見尽くした私たちは再び借りに行こうと街へくり出した。
そしてその帰りに、
「はいっチーズ!」
カシャッ
何故だかプリクラを撮っています。
「もーっ要っちもちゃんとピースしてよ!」
「してよじゃねえ、なんでプリクラなんだよ。もうビデオ借りたんだからさっさと家に…」
いつものように要がブツブツ言ってるけど、みんなが写ってるプリクラってレアですよね。
宝物決定。
次のフレームを選んでるのを横目にそんなことを考えていたら、思い出したように千鶴が話しかけてきた。
「ねっねっミュウ!プリクラと言えば定番があるんだけど知ってる!?」
「えぇ、なんですか藪からスティックに…」
「ルー○柴か。」
「ミュウさぁ、ヤングの常識も分からないんじゃあ時代に取り残されちゃうぜ!?」
「ヤングとか使ってる時点ですでに取り残されてんだよ。」
さすが要、ちょいちょい入るツッコミが的確です。
「で?つまり何が言いたいんですか。」
「つまり、だね……ふふふ、プリクラの定番と言えば!ずばり!ちゅープリでしょう!!」
「……ちゅープリぃ?」
ってそれカップルの定番でしょう。
「ってゆーことで次のプリはオレっちにちゅーしてぶほらぁ…っ!」
「わあっっ、悠太くんっ祐希くんっ暴力はダメですよぅっ!」
千鶴の言葉を遮って兄二人がそれぞれストレートパンチを叩き込んだ。
慌てる春ちゃんが可愛い。(千鶴はどうでもいい)
そうこうしてる間に機械が次の撮影を促した。
さん、
カウントを聞きながら千鶴の言葉を思い出す。
ちゅープリ、ね。
にぃ、
フレームに収まる為にグッと近寄った馴染みの顔たち。
いち、
ささやかな思い出として残してもいいのかもしれない。
「…ちゅ。」
「!」
隣でピースをしていた悠太兄ぃの口に、キス。
「……。」
「……。」
「心結。」
「なぁに悠太兄ぃ。」
「いやいやなぁにじゃなくて…」
手で口を覆った悠太兄ぃがため息を吐く。
写りを確認しようとみんなが画面に近付くと、パッと先程の写真が写し出される、と同時に。
「ああああああああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!??!?」
千鶴の大音量が聞こえ耳を塞ぐ。
予想通りの反応ではあるけれど…。
「千鶴、うるさいよ。」
「だってミュウ!なんでゆうたんにちゅーしてんの!?オレにはしてくんなかったのに!?」
「そもそもなんで千鶴にしなくちゃいけないんですか。」
「オレたち友達でしょ!?」
「友達はちゅーしません。」
「兄妹だってちゅーしませんんんー!!!」
「もー千鶴大声出しすぎ。ほら、ちゅーう。」
「えっ…!」
千鶴の顔を掴んで無理矢理顔の向きを変える。
すっかりその気になった千鶴は嬉しそうに声を上げるけれど、
「!?」
「!!?」
ぶちゅっと口付けたのはその先にいた要くん。
「「ぅっ、うぉええええええええ!!!!」」
「うわ、ミュウえげつない。」
踞る千鶴と要を心底嫌そうな目で見て祐希が言った。
「だってちーさん友達とちゅーしたかったみたいだから。」
「じゃあオレ友達やめようかな。」
「春も千鶴と友達じゃないほうがいいよ。ちゅーされちゃう。」
「え、えっ?」
騒ぎすぎて店員さんに怒られるまで、あと数秒。
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