夢の世界へいざ行かん!

□中学生日記
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「ゆーき…、」
「なに?ミュウ。」
「ヤバいよ、惚れ直した。」
「オレも。」
「大好きすぎる。」
「負けないよ。」
「私のほうが大好き。」
「いや、オレだね。」
「いやいや、私です。」
「いやいやいや、オ」

「うるせぇこのブラコン弟妹!!(きょうだい)」

「静かに!!!」

中学校の武道場。
弟くんの彼女さんが剣道部だということで練習を覗けば、OBだった悠太兄ぃと春ちゃんは練習に強制参加させられた。

冒頭はそれを隅で見ていた私と祐希が紡ぐ“悠太兄ぃへの愛100パーセント”の会話に要が突っ込んだところである。
そして顧問の先生に怒鳴られた。

「「ププッ、おーこらーれたー。」」
「お前らのせーだろーが!!!!」

「しーずーかーにぃぃぃぃ!!!!!!」

馬鹿の一つ覚えってこの事ですね、わかります。

後輩に剣道を教えていた悠太兄ぃが呆れた顔でこっちを見た。
ゆーたにーと手を振れば、ため息を吐きながらもひらひらと手を振り返してくれました。大好きです。

「あれ?松岡。どうしたのこんなところで。」

悠太兄ぃへの愛を再確認したところで、横から可愛らしい声が聞こえてきた。
どうやらこの子が噂の弟くんの彼女さんらしい。

「もしかして彼女さん?こいつの。気をつけなさいよ〜?油断してるとあっという間にこのエロ助に食べられ…、」

ニヤニヤしながら彼女さんに話す千鶴を弟くんは竹刀でひっぱたいた。
どうやら彼女さんの前では淡白キャラを装ってるらしい。
いるよねそうゆう男、って、みんなそうか。
下心は誰しも隠し持っているものですよね。

千鶴と弟くんがやいやいやり合ってると、顧問の先生から呼ばれた彼女さんは、また連絡すると言って練習に戻っていった。

あーあ、お話したかったのにー。
防具を着けている彼女さんを見つめて、休憩になったら話そうと心に決める。

「やべえケータイ!!」

弟くんが急に騒ぎ出した。

「夜、間宮から電話くんだよ。没収されてんじゃ電話出れねえじゃん!そしたらあいつ家にかけてくるかもしんねえし、もしそん時オレ、フロ入ってて親…っ親が電話出て、そ、そんで、あとでさっきの子誰?ってきかれたら、な、なんて……言えば…。」

顔を赤くして言う弟くん。
不覚にもちょっと可愛いと思ってしまったよオネーサン。
あ、ちなみに間宮って彼女さんの名前です。

「そう言うことならお兄さんたちが一肌脱いであげましょう!」

グッと親指を立てた千鶴が高々と宣言したけど、うん。不安。
さっそく武道場を出る千鶴と弟くんの後ろで、祐希がくるりと振り返った。

「あれ、ミュウ行かない?」
「うん。悠太兄ぃもっと見てる。」
「さすがブラコン。」
「人のこと言えない。」
「まあね。じゃあ、いってくる。」
「うん、いってらっしゃい。」

ぎゅっと抱きついてきた祐希をぎゅっと抱きしめ返して、手を振って見送った。

「……お前らホント仲いいな。」
「あれ、要いたの?」
「っお、ま!」

要の存在すっかり消えてました。





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