夢の世界へいざ行かん!

□colorless blue
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翌日。
最近の日課となった登校前のコンビニのパン売り場。

「今日はー、…うん、これかなぁ。」
「なにその奇妙なパッケージ。心結ってそんな趣味してたっけ?」
「あれ、花代さん。おはよーございます。もう定番は食べ尽くしちゃったんですよー。冒険するしかないんです。」
「ああ…そう。」

一部のマニアかアホなチャレンジャーしか手を伸ばさないような、赤色がドロドロした背景に妙にリアルなドクロがパッケージに描かれている何味かも記されていない、パン。
いかにもこれは危険ですと訴えている。

そんなパンを手にした時話し掛けてきたのは、学校の学食兼購買のおばちゃん、花代さんだ。

「誰がおばちゃんよ?」
「…まあ、おばちゃん、と言ってもまだまだ若く、言葉のあやのようなものである、まる」

グーにした拳をちらつかせながらも素敵な笑顔ですね花代さん。

「あんたも頑張るわねー。」
「花代さんはもう二週目突入でしたっけ。」
「まあね、大人の実力ってものよ。」

ふーんと相槌を打ちながらレジへ向かえば、私の分もと何故か花代さんもパンを出してきた。

「え、散々大人がどうとか言ってたくせに学生に奢らせる気ですか?」
「そんなことしないわよ。大人だからね、今日は奢ってあげる!」
「花代さんっ…!」

おばちゃんなんて言ってごめんなさい!

会計が終わって頭を下げれば、花代さんは少し寂しそうな顔で笑った。

……なんで?

















そしてお昼。
昨日のように茉咲ちゃんの机に行けば、

「あれ…、今日は茉咲ちゃんもパン?」

コンビニの袋からパンを取り出す茉咲ちゃんの姿が。

「たまにはパンもいいかなーって思って。ほら、シールあげる。」
「……もしかしてもしかするともしかしなくても茉咲ちゃんあなた…!」
「なっなによ!いらないなら別にいいけど!?」

私が昨日あんなこと言ったから早く終わらせようと協力を……!?

「ありがとう…茉咲ちゃん。」
「べ、別に私がパン食べたかっただけだし!あんたの為じゃないんだからね!」
「うん、ありがとう。」

ツンデレMAX。
でも嬉しいからそんなこと気にしません。

「……あと何点よ?」

茉咲ちゃんが二点くれて、私も二点だから…。

「あと四点です。」

貰ったシールをさっそく台紙に貼って茉咲ちゃんに見せる。

「じゃあ明日で終わりね。」

明日も協力してくれるってことですか!

「そしたら明後日には学食行けるわね。」
「ま、茉咲ちゃん〜〜〜!!!」

さりげない優しさに胸がいっぱいです!!
ごちそうさまーーーー!!!





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