夢の世界へいざ行かん!

□on your mark
4ページ/7ページ


(祐希side.)



バタバタと走って、なんとか間に合った劇の上演。
暗くなった舞台上には継母と姉にいじめられるシンデレラ。

「女性って何でこう醜いんですかね。」
「いや…物語だからね。」
「いやいや甘いよ悠太くん。物語ってのは現実を踏まえた上での空想だから。」
「知らないよ。」

これだから悠太は。

「つーかよ、心結は何役だ?」

要は何を見に来たのさ。

悠「ねずみCだって。」
要「C?」
春「ちなみに茉咲ちゃんはBらしいですよ。」
千「ぷー!Bだってよ!」
要「どうでもいい情報だなおい。」
春「あっ、ほらっ出てきましたよ!」

ステージに目を向ければ、

要「でか!」
千「ぶぶっ、ちっさ!」

デカイねずみと、小さいねずみ。

春「わー2人とも可愛いですねー!」
要「あんなデカイねずみいねぇけどな。」
悠「でかくたって似合ってれば問題ないでしょ。」
カシャ、カシャ、
祐「そーそー。一番目立つじゃん。」
パシャ、パシャ、

要「わかったからカシャカシャパシャパシャうるせぇよこのシスコンが!」

一番うるさいのは要だと思う。






こうしてねずみは出番を終え、劇は中盤を迎える。

「ミュウはあと最後だけ?」
「そうだね。」
「じゃあ最後になったら起こしてよ。」
「え、寝るの祐希。」
「ミュウ出ないんじゃ観る意味ないし。」
「…妹バカ。」
「ゆーた、人のこと言えんの?」

呆れたような視線を受けつつ目を閉じる。
悠太の肩にもたれようとした時、

「えっ、あれって…、」

春の驚いた声と会場がざわつく音が聞こえた。

「…祐希。」
「なに悠太。」
「目、開けた方がいいかもよ。」
「えーもう寝る体勢…。」
「心結が、」
「…ミュウ?」

妹の名前に反応して目を開ければ、

「シンデレラになってる。」

ねずみが魔法にかかったようだ。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ