夢の世界へいざ行かん!

□on your mark
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“めるへんきっさ”を後にした茉咲ちゃんと私は、ステージの袖にいた。

会場が暗くなって、ステージの明かりが眩しい。
衣装係が作ってくれた衣装に身を包み、いざ本番。

練習してきた劇は、始まってしまえばあっという間で。
と言うか、ねずみの出番自体あっという間なんですけどね。
緊張してるヒマなく終わる感じなんですけどね。

「茉咲ちゃん、へーき?」
「へへへへーきっ!」

それでも茉咲ちゃんは手のひらに人の字を書いて飲み込む。

つか衣装似合ってんな。
かわゆすな。

「あ、次だよ茉咲ちゃん。」
「!」

ねずみの出番がきて舞台上へとかけていく。

結構人が入っていてこれじゃあどこに誰がいるのかなんてわからない。

…………なぁんて思ったのはついさっきまでで。

目立つ集団発見です。

しらゆた姫に鬼○郎。
赤ずきんちゃんに花子さん、要。

え、要?
なんでキミだけふつーなの?
逆に浮いてますよ?

…と本人に言ってやりたい。(面白いから。)

なんてことを考えてたらいよいよ茉咲ちゃんの台詞。

「か、かわいそうにシンレレラッ。今日もいっ………ままははとっおねえさまに今日もいじめられたん……だね…。」

…シンレレラて。
茉咲ちゃん、カミカミですな。

「だいじょうぶダヨ、シンデレラ。ボクたちはキミの味方さ。」

とかいう私は棒読みですけどね。




一言だけの台詞を終え、舞台袖に引っ込む。

「茉咲ちゃん。」
「…………。」
「……茉咲ちゃん。」
「…………。」

ダメだこりゃ。
ズーン、という効果音が背中に見えますよ茉咲ちゃん。

「悠太兄ぃたち、目立ってたね。」
「………。」
「春ちゃんもちゃんと見てくれたね。」
「………。」
「春ちゃんなら、頑張ったねって誉めてくれると思うけどなあ。」
「っ、」

茉咲ちゃんが顔を上げて口を開いた時。


「た、大変っ!大変なのっ!!」


舞台監督を努めていた子が息を切らして走ってきた。





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