夢の世界へいざ行かん!
□いつかの夏
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「おーっ」
やってきました夏祭り。
目移りしちゃうねと女の子を見てよだれを垂らす千鶴と、食べ物に目移りしちゃうとニコニコする春ちゃん。
おーい、かみ合ってるようで内容全然違うからねキミたち。
千「てゆーかミュウ!」
「…はい。」
きましたよ。
千「浴衣めちゃくちゃ似合うじゃん!ぐっじょぶ!」
「はあ…どうも。」
親指をビシッと立てた千鶴はやっぱりよだれを垂らしている。
祐「ちょっとちょっと、うちのミュウによだれつけないでよね。」
悠「いくらうちの子が可愛いからってそんな目で見ないでください。」
要「おいこらそこのシスコンズ。」
両側からぎゅうぎゅうと抱きついてくる兄二人に要が突っ込む。
春「でもほんとに似合ってますよ、心結ちゃん。」
「…ほんと?」
春「はい!可愛らしいです!」
にっこり笑う春ちゃんは天然タラシくんだな。
ちょっとキュンとしちゃったじゃないか。
「はっ!」
刺さるような視線に気付く。
「ま、茉咲ちゃん?」
「フン!」
思いっきり顔を反らされた。
ああ…、やってしまった。
やっぱり浴衣なんか着るんじゃなかった。
てゆーか茉咲ちゃん来るなら来るって言ってくれ!
私も浴衣着てくれば良かったとか、春ちゃんはやっぱり心結のほうがいいんだとか、茉咲ちゃんの心の声がガンガン頭に響いてきますよ!
祐「っていうかおなかすいたー。」
祐希の間の抜けた声にハッと我に返る。
悠「大丈夫だよ、茉咲は妬みはしても嫌いはしないって。」
「…フォローになってないよ悠太兄ぃ。」
ガックリうなだれてたら目の前にフランクフルトが。
祐「まあまあ。これでも食べて元気だしなよ。」
経費削減を狙って二人で一つのものを食べることになったらしく、私は祐希と一緒になったらしい。(思考の波にのまれて何も聞いてなかったんです。)
「おいひい。」
祐「それはよかった。」
千「ブーッ!!!!」
「ちょ、千鶴いきなりなに。」
チラリと目が合った瞬間、千鶴が食べていたものを噴き出した。
「汚いなあ。」
千「だっ、て!ダメだって健全なる男子にそれは!」
ゴホゴホむせながら言う千鶴くん。
要「オイ!!いいかげんまわせ次に!!」
祐希と私、あと要も同じ食べ回しチームだったみたい。
「ん。」
フランクフルトを渡して気付いた。
「あ、間接ちゅーだね。」
要「ブーッ!!!!」
「ちょっと!汚い要!」
要まで噴き出した。
要「おっおまっ!なに言って…!」
祐「あーあーあー。顔真っ赤ですよ要くん。」
悠「要も千鶴も下心丸出し。」
要「オレは下心なんかねえ!」
千「オレはある!」
祐「胸張って言うんじゃありません。」
得意気な千鶴に真っ赤な要。
ああ、真っ赤と言えば…。
「りんご飴食べたいなあ。」
要のりんごみたいに赤い顔をジッと見て言えば、何故だか更に顔を染めた。
要「なっ!に、言ってんだおまえ!」
祐「ちょっとちょっと。なに言っちゃってんの心結さん。要はよしなって。不味いよ。」
千「ちょ、ミュウ、今の台詞オレの顔見てもっかい言って。」
悠「お兄ちゃんは心結の無自覚が心配です。」
いやいや、りんご飴食べたいって言っただけだからね、要食べたいなんて言ってないからね。
あなたたちダイジョウブデスカ。
春「あ、金魚すくい。」
「…春ちゃんだけだよ純粋なのは。」
春「え?」
春ちゃんはそのままでいてね。
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