夢の世界へいざ行かん!
□いつかの夏
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コンビニからの帰り道。
「んん。」
前方に見知った人発見。
ただでさえ暑いのに絡めばもっと暑くなりそうだ。
てゆーことで…。
まわれーみぎ。
「あっれぇ!?ミュウじゃーん!」
「…どうも。」
見つかってしまいました。
はい、千鶴くんです。
「ってミュウ!!!!なんっつーカッコしてんのキミは!!?」
「え?」
なんっつーって…、
「部屋着ですけど。」
少し長めのゆるいTシャツに、ジーンズの短パン。
え、フツーだよね?
「ミュウが着ると激エロだって!足長っ!汗も滴るいー女だよ!」
「なにそれ。」
暑さでやられちゃったみたいね。
「てゆーか千鶴、なにしてんの?」
話変えちゃえ。
「ん?オレはたらい回しにされてたとこー。ゆっきーとゆうたんとこ行ってー要っちんとこ行ってー春ちゃんとこ行きましたー。」
「…ヒマなんだね。」
「つーかゆっきーすげえな!ボランティアで人助けしてんだな!」
「…ん?」
「ゆっきー誘いに行ったらさあ、忙しいから遊べないって。残念だけど人助けなら仕方ないよなー。」
「あー…。そうだねえ。」
確かにゆーきはゲームの中で人助け中、かもねえ。
「ミュウはなにしてんだ?」
「私はアイス買ってきたとこー。」
カサリとコンビニの袋を持ち上げる。
中にはアイスが二つ。
ボランティア中のお兄さまたちへ差し入れです。
「アイスかぁーいいなぁー!」
「ん、食べる?」
自分が食べてた棒アイスを差し出すけど。
「えっ!?いやっ!それはやっぱりエロすぎる!」
「ねぇさっきからなに言ってんの?」
なにしてもエロに見えるんかキミは。
思春期真っ盛りすぎでしょう。
「あ!」
「…今度はなんですか。」
一人で十人分騒がしい。
「春ちゃんが今日の夜、祭り行こーって!」
春ちゃん家行った時に誘われたんだろう。
まあ、私は前々からメールきて知ってたけど。
ちなみに悠太兄ぃと祐希にも教えたから知ってるし、要にも春ちゃん連絡したって言ってたから…。
知らなかったのはきっと千鶴だけ、なーんて。
言ったら絶対ブーブー言うから言ーわない。
「あぁ、いいね祭り。行こうか。」
「いよっしゃー!楽しみだなー!ミュウの浴衣!」
「え、着ませんよ?」
「ええ!なんで!」
「なんでって…。暑いし動きにくいし。」
「キミはそれでも女子か!女子が浴衣着なくてどうする!」
「えぇー…」
「オレも着るからさ!一緒に浴衣で行こうぜ!」
「キミこそ女子か。なにその女の子同士みたいな約束。」
「ゆびきりげんまん、うそついたら針千本のーます!ゆびきった!」
「…一方的な約束は無効にはならないんですか。」
勝手に小指を繋げられてぶんぶん振り回された後、ポイッと離された。
なにこの使い捨てみたいな扱い。
「じゃーなー!絶対浴衣着てこいよー!」
見えた千鶴はすでに遠くで手を振っていて。
「はあ…。」
ドロドロのアイスをなんとか食べながら帰路についた。
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