夢の世界へいざ行かん!

□Noisy Medicine
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「生徒会委員のこのオレに知らねーことはねえぜ。」

メガネをくいと上げて言うのはもちろん要。

…じゃなくて、祐希。

只今、要くん宅にお邪魔しております。












千「ぷっ、似てねー!似てねーけどいいよ、ゆっきーの要っちー!」
要「どこがだ!」
「ゆーき、かっこいー。」

メガネをかけて要のものまねをする祐希に千鶴は大爆笑。
いつものように要がツッコミを入れるけど、どこか迫力がない。

要「こほっこほっ。」

そうです。
要くん、風邪ひいちゃったみたいです。

バカは風邪ひかないとか言うけど、要に至ってはオレは頭いーんだぜって言われてるみたいでムカつくなー。

要「おい。今なに考えた。」
「いえ、別になにも。」

睨まれたって気にしません。
スルーです。

とそこへ、コンコンと響く音が。
開かれたドアの向こうには、ジュースを持った要のお母さん。

「みんな、要くんのためにわざわざありがとうね。」
「いえいえ要くんのためだなんてそんな。私はただお母さんに会えれば良かったんです。」
「あら心結ちゃん、久しぶりね。可愛くなっちゃってー。」
「お母さんの方が可愛いですよ。」
「あら、ありがとー。」
「あ、お母さん、アドレス交換しません?…要くんの隠し撮り送りますよ。(ボソッ)」
「うん、ぜひ。」
「わーい。」
要「やめろそこ!」

お母さんとキャッキャッ言ってたら要に邪魔された。
まあでもばっちりアドレスは交換し終えましたけどね。

「やーだー要ったらヤキモチー?」
要「ざけんな!」
母「ぐす、ぐす」
千「こらー!!オナゴを泣かすなー!!」
「うわっ、さーいてー。」
要「なんで泣くんだよ!!」

少し泣いたお母さんは、用事を思い出したと部屋を出て行った。

千「なんかかわいいな!要っちのお母さん!」
要「あんま知り合いに紹介したくねぇけどな。」
祐悠「出ました!独占宣言!」
「血ぃ繋がってんだから私に譲ろうよ!」
要「いいかげんにしろ!!」

要が突っ込んだ時。

日「かーなめー。さっき家の前でおばさんに会ったけど、あんた風邪ひいたんだって?」

がちゃ、とドアが開いて登場したのは要の幼なじみ、日紗子ちゃん。

「あー、日紗子ちゃんだあ。会いたかったよー。」
「あれ、心結じゃない。久しぶりね。」

正面からぎゅうと抱きつけば、日紗子ちゃんは呆れた顔をしながらも頭を撫でてくれた。
日紗子ちゃん、結構面倒見がいいんですよ。
私が言うのもなんですけどね。

「ずるいなー要ばっか。お母さんに日紗子ちゃんに可愛い子がいっぱい。」
要「なに言ってんだおまえ。母さんは母さんだし、日紗子は怪力女…。」

バシッ!

あ、日紗子ちゃんに殴られてやんの。

「ざまあ。」
要「ああ!?なんか言ったか!?」
「べっつにー。」

突っかかってきながらもゴホゴホと咳をする要。

春「要くん、ちょっと横になった方が…。」

春ちゃんは優しいなー。
休みの間の授業まで心配してあげてるよ。

…それなのに要ったら。

「いいっつってんだろ。」

春ちゃんの優しさ冷たく拒否ですか。
へーそう、ふーん。

「かーなーめーくん。」

ベッドによじ登って要の足の上に四つん這いでまたがる。

「ちょーっと今のは春ちゃんに失礼だと思うんですけど。」
要「ちょ、おまっ、なにして…!」
「可愛い可愛い春ちゃんの顔が寂しげになっちゃいましたよ。」
要「ち、近い近い近い!」
「まあちょっと切ない顔も可愛いんですけどね?」
要「なんの話だよ!」
「でもやっぱり可愛い子には可愛い顔で笑ってもらいたいじゃないですか。」
要「わ、わかった!わかったからベッドから下りろ!」

ずいずいと距離を縮めていって、気付けば鼻と鼻が触れ合う寸前。

「わかったのなら良し。」

要の言葉を耳に入れて、パッと離れる。

…あれ。

「要、熱上がったんじゃない?顔赤いよ。」
要「だから近付くなー!」

さっきより赤くなった要の顔を覗き込んだら、急に横からくいっと引っ張られた。

悠「こらこら。あんまり要に近付かないの、風邪じゃなくてリンゴ病かもよ。顔真っ赤だし。」
祐「そうそう。あんまり近付くと食べられちゃうよ。顔真っ赤だし。」
「ああ、リンゴだけに?」
祐悠「……………。」
「え、違った?」

祐悠((…天然。))

私の腕を引っ張った悠太兄ぃと祐希は、呆れたようにため息をはいた。














「ひーさーこーちゃん。」

階段を下りていったのが見えたから来てみれば、案の定カップを出して飲み物の準備していた。

「手伝いますよ。」
日「…ありがとう。」

なんかビミョーな顔された。

「あの、日紗子ちゃん、」
日「ねぇ心結。」
「あ、はい。」

真面目な顔でジッと見つめられて。

日「心結って、要のこと…好き、なの?」
「…は?」

え、…んん?

日「だからっ、要よ要!好きなの!?」
「えーと…、なにがどうなってそんな勘違いが?」
日「え…、勘違いなの?」
「私が要なんか好きになるはずないです。百パーセント。」
日「だ、だってさっき要に迫ってたじゃない!」
「迫…、」

要が春ちゃんに冷たくした時のことか…?
そんな風に見えちゃうんですね…。

「心配しなくてもだーいじょーぶですよ。要くんとったりしませんから。」
日「なっ!違うわよ!」
「私は日紗子ちゃん大好きだから応援してます。」

本音ですよ。
日紗子ちゃん可愛いですもん。

日「…はぁ、私ってそんなにわかりやすい?」
「わかりやすかったら要だって気付いてるよ。」
日「そうよね。」
「…でもわかりやすいくらいが丁度いいのかも。要、そーゆーのは鈍ちんだもん。」
日「ははっ言えてる。」
「て、ゆーことで。アドレス教えてください。」
日「なにが“てゆーこと”なのよ…。」

呆れながらもケータイを取り出してくれる。
やった、日紗子ちゃんのアドレスゲット。

「普段見ることのできない学校でのエラそーな要くんをメールにてお送りしますね。」
日「なっ、いらないわよそんなの!」
「まあまあ。」

顔をほんのり染めた日紗子ちゃんは、実に女の子らしいと思った。(要も気付けばいいのに。)













お見舞いと言って、散々騒いできた帰り道。

千「うほーっ、このノートあれば次のテストかんぺきじゃね!?」
祐「あら訳もバッチリ。」
悠「ねー。」

要のノートをこっそり拝借してホクホクな千鶴たち。

「一日で二人も女の子のアドレスゲットできるなんてツイてるなぁ。」

そして私もホクホク。

春「みんなしていつのまに…。」

真面目に見舞ってたのは、春ちゃんくらいだよ。

…でも。

「早く良くなるといーよね。要。」
春「そうですね。」


ピースは一つでも欠けたら完成しないから。








END.

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