夢の世界へいざ行かん!

□星の数だけ願いを
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「…あれー?」

ポツーンと佇む私の周りは、茉咲ちゃんどころか人の気配すらない。
つまりどーゆーことかっていうと、

「ここ、どこ。」

迷ってしまいました!ちーん!











「とかなんとか言ってる場合じゃないですよねー。」

学校で迷子って…。
シャレにならん。

「はー…」

ため息が漏れた時、

「あ、電話。」

ケータイが光った。
ディスプレイには“悠太兄ぃ”の文字。

「もしもーし。」
『あ、心結?今どこにいるの。』
「えー?ンー、…Where is this?(ここはどこですか?)」
『…英語で言ったからってかっこよくなるわけじゃないから。』
「あはは、ですよねー。」
『茉咲が心配だからって追いかけて行ったんじゃなかったっけ?』
「う…、まぁ、はい。」
『心結が心配かけてどうするの。』
「…ごめんなさい。」
『次からは気を付けること。じゃないとお兄ちゃん心臓保ちませんよ。』
「うん…、ごめん…。」
『反省してるなら良し。……みーつけた。」』

電話越しの声が後ろからも聞こえた。

「ゆーたにぃ…」
「まったく、世話が焼ける妹だね。」

振り向いたら悠太兄ぃがいて、さっきまで聞こえていたケータイの声はプー、プー、と無機質な音をたてていた。

「……心結。」

ふわり。

悠太兄ぃに抱きしめられた。

「ゆ、た…に?」
「心配した。」
「う、」
「も、やめてね。」
「…はい。」

電話でたくさん言ったけど、もう一度言った。

「悠太兄ぃ、ごめんなさい。」

ぎゅうと抱きしめ返して。













春「あー!見つかったんですね!よかったあ…。」

悠太兄ぃに手を引かれ、辿り着いた一つの教室。
ガラリとドアを開けば春ちゃんに茉咲ちゃん、外まで逃げ出してたみんなが勢揃いで。

要「あの後すぐみんなで中入ったんだよ。茉咲がちゃんと春見つけてると思ったら、今度は茉咲を追いかけてったおまえがいなくなってるし。」
千「そーそー。幽霊にやられたかと思ったけど、幽霊はただの子どもだったしさ!」
春「何はともあれ無事に見つかって良かったです。転校してきたばかりじゃわからないのも当然ですもんね。」
祐「加えてミュウは極度の方向音痴ですけどね。」

そう言いつつ祐希も私のことをぎゅうと抱きしめてきた。

「心配かけちゃってごめんなさい…。」
千「まぁなんともないなら良かったじゃん!」
要「だな。」

みんなの言葉に心がほっこりする。

千「にしてもミュウ!おまえいいセリフ聞き逃したぞー!」
「え、なに?」
千「さっき幽霊は子どもだったって言ったろ?なんでもその子ども、クラスメートの病気が治りますようにって短冊に書いたみたいでさ!吊す笹なくてどーしよーってなった時!ここで要っち!」
「要?」
祐「くっだんねって言ったんですよ。」
「えーひどーい。」
千「でしょー!?」
要「て、おい。それ言うためのくだりだったのか!?」
春「あはは、違いますよ。ね、千鶴くん?」
千「え?そうなの?」
春「千鶴くん…。」

うーん、何が言いたいのかイマイチわかりません。

春「病気が治りますようにって書かれた短冊、笹じゃなくてその子に直線渡せって要くんが。」
千「あぁそーそー、その方がよっぽど力になる、笹につるしたってそこで終わりだろって!たまには要っちもいいこと言うよなー!」
要「たまには余計だ。」
「……………。」

公園で書いた短冊を思い出してポケットから取り出す。

「そっかぁ…そうだよね。」
悠「…心結?」
「直接伝えなきゃわからないよね。」

短冊をみんなに見えるようにピシッと伸ばす。

「これからもこの騒がしい日々が続きますように!私の願い事です!」

このメンバーでわいわいやってる時間が大好きだから。

悠「いきなり何を言い出すかと思えば…。」
要「騒がしいのは御免だな。」
祐「とか言って、騒がしくしてるのは要と千鶴だけどね。」
要「おまえらのせいだろうが!」
千「ええ!ひどいゆっきー!」
春「まぁまぁ二人とも落ち着いて。」

変わらない日々。
少しずつ変わる毎日。

茉「ばっかじゃないの?」
「茉咲ちゃん…。」
茉「こいつらが静かになんて出来ると思う?」

呆れたように言った茉咲ちゃんもなんだか嬉しそうで。

「思わない!」


願わくばこの愛おしい日々が途絶えることのないように。










END.
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