夢の世界へいざ行かん!

□星の数だけ願いを
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「浅羽祐希。愛読誌はアニメージャ。」
「松岡春です。えっと…茶道部に入ってます。」
「佐藤茉咲。高校1年…。」
「橘千鶴でっす!チャームポインツは泣きぼくろでっす!」
「浅羽悠太です。妹と双子の弟がいます。」
「浅羽心結でーす。可愛い子大好きでーす。」
「……………。」
「こらー!!要っちー!波をとめるなー!合コンの基本は自己紹介だぞ!?」

とある公園。
千鶴に呼び出された私たちに待っていたのは、合・コン。

千「もーノリ悪いなあ。せっかくゆっきーと春ちゃんに女役にまわってもらってまで人数合わせしたのにー。」
要「そこまでする意味がわかんねえよ。てゆーか肝心の女がコッチにいるってなんだよ。結局人数合ってねぇじゃねーか。」

そう言った要は私の方をチラリと向いた。

「別にいいじゃないですか。女だからって差別するのは時代遅れだと思います。ジェンダーですよジェンダー。」

ベーッと舌を出して反論する。
いいじゃないの男側でも。
可愛い女の子がそっち側にいるんですから。

「はいはーい、好きな男性のタイプが知りたいでーす。」

千鶴の振りにすっかり女役に徹した祐希が答える。

祐「そうね…、私に世の中お金より大切なものがあるって証明してくれる人かしら?」
千「するっス!自分証明するっス!」

ゆーき色っぽい。
千鶴がおちた。

悠「春さんは?」
春「えっ、えっと、やっ、優しい人ですかねっ。」
茉「春ちゃんは優しい人だと、すっ、好きになるの!?」
「そうみたいです。ところで茉咲さん。まーちゃんって呼んでもいいですか?」
要「おまえはガチだな!」

要のツッコミなんて気にしない。

千「よーし!!お次は王様ゲーム!」
「いえーい。」

王様ゲーム大好き。

要「オレやんねえから。」
「空気読めバ要。」
祐「あら、ボウヤは王様より女王様ゲームの方がお好き?」

祐希と二人して返したら、スコーンと紙コップを投げられた。

「うう、悠太兄ぃ〜。要がいじめるぅ〜。」
悠「女の子に暴力だなんて最低だよ要。」
要「う、うるせえっ!」
千「やめて!祐希ママには愛をぶつけてあげて!」
祐「昔からそう…。男が優しかったことなんて一度も…。」
要「知るか!!」

悠太兄ぃに頭を撫でてもらいながら祐希を見ると、千鶴とコントしていた。
どこまでスナックのママキャラ作るんだろう。
似合ってるからまぁいいけど。

「でも千鶴くん。なんでいきなり合コンなんですか?」

春ちゃんのもっともな質問に千鶴はしれっと返す。

千「今日、七夕だから。」
要「七夕関係ねえだろ!!」

要が突っ込んだけど、千鶴は完璧に七夕をはき違えてる。
七夕に結ばれた男女は織り姫と彦星の称号を貰えるとか、どんな大会ですかそれ。
春ちゃんに正解を教えてもらう千鶴は、どうやらたんざくのことはしっかり覚えていたようで。

千「じゃーん、たんざくセット〜〜〜〜〜」

用意がよろしいことで。

千「はいはい、みんな書きましょ書きましょ。」

てきぱきとたんざくを配る千鶴。
受け取ってうーん、と悩む。

願い事、ねぇ。
…あ、うん、コレにしよう。

書き込んでいると、正面からウブな会話が。

茉「あっ、えっと、あの、春ちゃんはなんて書くのかなーって。かなーって…。」

かなーって二回繰り返しましたよ。
もう可愛いな茉咲ちゃんは!

春「うーん、そうですねー。ボク英語が全然ダメなんで成績の向上を…。」

そこまで言った春ちゃんはピタリと止まった。

春「ゆ、悠太くん。英語の課題っていつが提出日でしたっけ…。」
悠「ん?明日。」

わーっと慌てる春ちゃん。
どうやら学校に置いてきてしまったらしい。

悠「いいじゃん2、3日遅れたって。」
春「ボク点数全然取れてないから提出物で穴うめしなきゃなんですよ〜〜。」
「じゃいいじゃん朝やれば。」
春「登校してすぐ出来ちゃうの心結ちゃんだけですって!」

私の隣にいた要がため息をついた。

要「っとにどんくせーな。行くぞホラ。」
春「え?」
要「取りに行くんだよ。明日なんだろ?」
春「あ…っ、はいっ。ありがとうございます。」

あーめんどくせ、とか言いながら歩く要に慌ててついて行く春ちゃん。
全く、要ってば優しいんだから。

「ちょーっと待って待って、私も行くー。」
要「はあ?わざわざ着いて来ても面白いもんなんてなんもねえぞ。」
「あるじゃあないですか。よ・る・の・がっ・こ・う。」
要「…はあー。ったく…。」

呆れながらも私が隣に並ぶのを待っててくれる要は、やっぱり優しい。

要「つーことだからお前らあとは勝手に…」
悠「あ、もうちょい待って。今かたづけてるから。」

残されたメンバーを振り返って言った言葉は、悠太兄ぃによって遮られた。
夜の学校に忍び込みたいのは私だけじゃなかったみたいで、広げられたお菓子やら飲み物やらを急いで片付けていた。






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