夢の世界へいざ行かん!

□目に映る全てにキラキラ
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「さーとーうーさーん」


バタンと屋上のドアを開く。
眩しい光に目を細め視界を確認すると、探していた佐藤さんとその他5人の姿が。

湿気を帯びた風は気休めにそよそよと吹いた。














「みぃつけた。」

佐藤さんに向けて言うと、あからさまにゲッという顔をされた。

「どうせ春ちゃんのとこだろーとは思ったけどさ。」
「なっ、なんのことよ!?」

ちょっとからかうと面白い程に反応する。

顔、真っ赤ですよ。

「こら心結、祐希みたいなことしないの。」
「祐希みたい?」

同類はやだな。

そう思って悠太兄ぃの言葉に素直に頷くと、頭上からチョップがおちてきた。

「いだっ。」
「ミュウ、誰をそんな扱いしてるんですか。」
「祐希。」
「兄ちゃんを付けなさい。」
「えぇ…。」
「ああそう、漫画(コレ)読まないのね。」
「ああっ、ごめんなさいごめんなさい!祐希兄ちゃんごめんなさい!」
「ん、よろしい。」

はい、と渡された漫画をさっそく読み始める。
また取られたら至福の一時ブチ壊しだからね。

千「…あのさー、思ったんだけど。」
「「じゃあそのまま内に秘めておいてください。」」
千「ちょっと!ゆっきー!ミュウ!」

おチビ改め千鶴が喚く。

「…………。」
「なに、ウルサイよ千鶴。」

祐希は返事をしたけど、私は無視。
漫画読む時は邪魔されたくありません。

千「思ったんだけど!…なんでゆうたんは兄ぃ付きでゆっきーは呼び捨て?」
春「あ、それボクも気になってました!」
要「そういやそうだな。」

あれ、なんか視線感じるんですけど。
答えなきゃだめ、みたいな。
面倒くさいんですけどー。

「そりゃだってアレでしょ…。」

ハァ…とため息ついて、春ちゃんが聞くならと諦めて答えた。

「どう見ても祐希はお兄ちゃん気質じゃないよね。」
「…没収。」
「ああ…っ!」

周りは納得のご様子。
だけどご本人サマはふてくされて私の至福(漫画)を取り上げた。

「祐希、ゆーきっ、ごめんってばー!」

必死に祐希に纏わりつく私とそれをガードする祐希。
悠太兄ぃが呆れ顔をしていたのは見なかったことにしよう。











「ねー要。」

未だ湿った風が吹く屋上。
お昼休みは長いから好き。

「先・輩。」
「えぇー、要もゆーきみたいなこと言うの。」
「当たり前だろ。こっちは一個上なんだよ。」
「…メガネのくせに。」
「関係ねーだろ!」

ツッコミの勢いで立ち上がった要は、見下すように私を見た。

「ほれ、言ってみ。」
「………。」

むむぅと軽く唸って、コイツはドSかと考えを巡らす。
そしたらそれを見ていた祐希が私の耳元でコソッと呟いた。

「えー…。」
「まぁやってみなって。」

祐希から言われたことに疑問を覚えつつも、ものは試しとやってみることにした。

「…………。」
「…なんだ?」

見下してくる要をジッと見つめる。

「要、先輩?」

コテンと首を傾げて尚も目線を外さない。

「なっ…!」

途端に要は顔を真っ赤に染めて、わたわたと挙動不審になった。

「な、や、止めろっ!コッチ見んな!」
「は…?」

…意味わからん。
どういうこと?と祐希を振り向けば無表情で要に携帯のカメラを向けていた。

「やーだー、要くんったらなに考えてんのー、……スケベ。」

そう吐き捨てた祐希は私をぎゅっと抱きしめて、要に軽蔑の視線を投げつける。

祐「うちの妹をそんな目で見てたんだ要って。見損なったよ。」
悠「まぁ見損なうほど評価は高くないけどね。」

悠太兄ぃも反対側からぎゅっとしてきて、祐希と同じように要に軽蔑を投げつけた。

要「ざけんな双子!おまえらが仕組んだんだろ!」
祐「やだなぁ人聞き悪い。」
悠「人のせいにするとか最低だよ。ねぇ心結。」
「え?あ、うん。」
要「おまえも何となくで答えるな!」

ギャーギャー言う要を兄ニ人に挟まれて眺める。

昔から苦労人は変わらずこの人。
みんな分かっててイジるから質悪い。
とか言う私もその内の一人なんですけどね。

でもやっぱり、それが楽しい。
ああ、戻ってきて正解。

今度はこちらから大好きな兄二人に抱きついた。










キーンコーンカーンコーン。

「あっ、行かなきゃ!」

春ちゃんと話していた佐藤さんが慌てて立ち上がった。

「春ちゃん。お勉強、教えてくれてありがとう。…また、来てもいい?」
「もちろん!」

満面の笑みの春ちゃんに、はにかむ佐藤さん。

あー、可愛い…。

未だ兄に挟まれたまま、和むなぁなんて思っていれば。

「ほら!早く行くわよ!」
「えー。」
「えー、じゃない!次体育なんだから急いで!」

佐藤さんが私の腕をグイと引っ張って歩き出した。

「さっさと歩かないと置いてくわよ!」

とか言いつつ掴んだ腕は放さないでいてくれる。

「…ツンデレさんめ。」
「なんか言った!?」
「いーえ何も。」

前を歩く佐藤さんの髪はふわふわと揺れていて、とても可愛いらしかった。








END.
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