夢の世界へいざ行かん!

□可愛い子見つけました
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久々の日本。
初めての高校。
今日からピカピカの一年生。

…あぁ、もう六月ですが。

編入試験を受けて無事合格。
噂に聞く穂稀高校へ、転校です。












「浅羽心結です。よろしくお願いします。」

パチパチとまばらな拍手…ではなく、何故か大喝采に迎えられ、指定された席へ座る。

「よろしくお願いします。」

隣の子へ挨拶するが、ふぃとそっぽを向かれた。

あれ、いきなり嫌われた感じ?

「あー、浅羽さん。あんまり気にしないほうがいいよ。佐藤さんっていつもあんな感じだから。」

逆隣の子がコソコソっと教えてくれた。
ふーん、とだけ返事を返し、再びさっきの子をチラリと見る。
すでに授業に集中してるその子は、周りを全く気にしていないようだ。

「そう言えば浅羽さんって二年生の浅羽先輩と同じ名字だよね!」
「浅羽先輩?」
「そう!双子の先輩なんだけど、めちゃめちゃカッコイイのよ!」

…ふむ。

授業中にも関わらず静かに盛り上がる彼女から目を逸らし、一人頷いた。










「佐藤さーん」
「……」
「さーとーうーさーん」
「………」
「さとっちゃーん」
「っ、その呼び方止めてくれない!?」

あ、やっと振り向いた。

「なによ!何の用!?」
「や、移動教室一緒に行こうと思いまして。」
「はぁ!?そんなの他の人と行けばいいでしょ!?」
「佐藤さんがいいんデス。」
「っ…!」

まだ初日だけど、佐藤さんの一匹狼っぷりは目にみて分かった。

「…なんなのよ。」
「…………。」

ポソリと言った言葉を耳に入れて、嫌われているわけではないと解釈する。

別に一匹狼さんを放っておけない性格、というわけではない。
そんなに面倒見はよくないし、お人好しでもない。
ただ単に、気になるのだ。(可愛い子が。)

「あ、ちょっと待ってよー。」

考え事をしているうちに佐藤さんはだいぶ歩き進めていて。

「さとっちゃんってばー」
「だからそれ止めてって言ってるでしょ!?」

追いかけて逃げられて言い合って。
そんなことをしていると、ふと脳天気そうな声が廊下に響いた。

「おっ、メリーじゃーん!」

声がした方に顔を向けると、変な触覚が付いた金髪のおチビさん(以下面倒くさいからおチビさん)、がこちらに向かって手を振っていた。

「げ、千鶴」

佐藤さんが反応を示したからきっと知り合いなんだろう。

「よぉ!おまえ移動教室かぁ?」

愛想のいい顔を浮かべて近寄ってきた、千鶴、と呼ばれた人は、佐藤さんの頭をぐしゃぐしゃにかき混ぜた。

「ちょ!やめてよ!バカ!」
「なんだよー、メリーが小さいのがわりぃんだろ?」
「あんたに言われたくない!」

…確かに。

初対面だけどそんなことを思った。
そしたら、

「あれ?」

バチッと目が合った。
脳内読まれたか?
エスパー?

「な、な、なな…」
「七?」

「なんだこの超絶美女はっっっ!!!!????」

「は?」

ガシッと掴まれたのは…佐藤さんの肩だった。

「ちょ、なんで私!?」
「あー、確かに佐藤さんは可愛いよね。」
「はぁ!?違うわよ!超絶美女はあんたのことでしょ!?」
「…それ、言ってて虚しくなんない?」
「ちょっ、メリー!彼女友達!?」
「ち、違うわよっ!友達なんかじゃ…!」
「…いや、うん、いいんだけどね…ストレートすぎです…」

ギャーギャー言ってる横でうずくまり、効果音の“ずーん…”を付ける。

「ちょっと千鶴ー、廊下でウルサイ。」
「小学生か、おまえは。」
「いや…、小学生以下だね。」
「あはは…」

そんな端から見たらおかしな図に話し掛ける声がした。
なんだか聞き覚えのある…、だけどすごーく懐かしい声が聞こえてきた。

「ちょっとちょっと!ウルサイとは何さ!小学生以下とは何さ!」

おチビさんが食ってかかる。

「あ…っ、しゅ、春ちゃん…!」

あれ、佐藤さんどもってる。

「ウルサイのはウルサイ。」
「小学生以下だろ。」
「間違いない。」
「むきーっ!ゆっきーも要っちもゆうたんもヒドすぎるっ!」

春ちゃんにゆっきーに要っちにゆうたんね。
………………………。
…………んん?

そっと顔を上げれば、

「あ。」

やっぱり見知った顔。

「あれ、心結じゃん。」
「あ、ほんとだ。」
「…悠太兄ぃ、祐希…。」

おんなじ顔の彼らは、私のお兄さん。

「えぇ!?心結ちゃん!?」
「いつ帰ってきたんだ?」
「久しぶり。春ちゃん、要。」

一緒にいる彼らは、兄のお友達。
小さい頃からよく一緒に遊んでいた。

「え?え?ゆっきーたちの知り合い?」

おチビが聞く。

「「うん。妹。」」

「「……………えぇえっっっっ!!!!?」」

悠太兄ぃと祐希の答えに、おチビだけじゃなくて佐藤さんも驚いた様子。
キーンと耳鳴りするほどの大声に、遅いと思いつつも耳を塞いだ。

千「えっ、えっ、妹!?」
悠「うん。」
千「うそっ!ほんと!?」
悠「なにそれ、結局どっち。」
祐「千鶴ウルサイ。」

悠太兄ぃとおチビ、それから祐希のやり取りを横目に、今更だけど要の質問に答える。

「3日前に帰ってきた。なんかコッチのほうが楽しそうだから。」
春「え、それが理由ですか?」
「うん。」
要「ロスへ行っても性格は変わんねーな。」
「要もね。相変わらずメガネはご健在だ。」
要「…ほんとに変わんねーなっ!」
春「まぁまぁ。」
「春ちゃんも相変わらず。髪の毛伸びたねぇ。」
春「心結ちゃんも長いですよ。」

懐かしい人たちに頬も緩む。(あんまり顔に出てないらしいけど。)
話に花が咲きかけた時、ふと視線を感じた。
気配を辿れば、佐藤さん。

「?」

じーっと見られたから、可愛いなぁなんて思いながらじーっと見つめ返した。
…そしたら。

「あ、」

フンッと踵を返して足早に歩き始めた。

「ちょっと佐藤さーん、」
「着いてこないで!」
「…そうは言っても行くとこ一緒なんですが。」
「っ、好きにしなさいよ!」
「はーい。」

やった。やったね。
許可がおりましたよ。

「じゃあ、またね。」

先に行った佐藤さんを追いかけるようにして歩を進めれば。

「心結」

悠太兄ぃに呼び止められた。

「ん、なぁに?」
「学校は、大丈夫そう?」
「うん。楽しくなりそう。」
「そっか。」

なら良かった。

表情は変わらないけど、雰囲気が優しくなるのが分かった。
悠太兄ぃは優しい。

「佐藤さんはなかなか振り向いてくれないけどねー。そんな恋こそ萌えます。」
要「いや、色々ツッコミたいんだけどどうすればいい?」
祐「ツッコミたい?要のドスケベ。」
要「なっ…!祐希おまっ、ばっかじゃねぇの!?」
「私ってばそんな目で見られてたのかー、やーだー要へんたーい。」
祐「へんたーい。」
要「っ!祐希ぃ!心結!」

悪ふざけが過ぎて要に追っかけられる。
このギャグな感じ、懐かしい。

「ふふ、じゃあまた後でね!」

要から逃げ回ってる勢いそのままで、遠くなった佐藤さんの背中を追いかけた。

これからの高校生活に期待大。








END.
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