トリッ腐!!
□トリッ腐スタート!!
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まさかあれが噂の妖怪…?
やばっ!生まれて初めて見た!
てゆーか目の前にいる彼らって…。
「こんにちは!オレ桜井ハルと申します!あなたは?」
「あ、夏目貴志です。あとこっちはニャンコ先生。」
やべーやべー!やっぱりそうだわ!なにこの急展開!ドキがむねむねしちゃう!てゆーか普通に“ニャンコ先生”って紹介する夏目かわゆす!
「あのー…、」
「ふぁい!?」
「ふぁい…?」
やべ、噛んだ。
「君は、その…、」
なんだか言いにくそうな夏目。
そんな夏目も好きです。
「その…、妖怪が、見えるのか?」
恐る恐る伺うような目で。
…ああ、この不安気な表情はマンガでよく見たよ。
もし違ったらまた気味悪がられる、でも、自分と同じかもしれないという希望。
「妖怪?なにそれ、」
「っ…!」
顔を青くする夏目。
「そんなの…、そこら中にいるじゃない。」
「―――え…?」
俯きかけた顔がパッと上げられる。
「ほら、そことそこと、あっちにも。」
「あ…、」
木々の間を指差し言えば、それにならって夏目も顔を動かした。
こちらに気付いていない妖怪が世間話をしながら通り過ぎていく。
「なんか、おかしい?」
「あっ…、いや…――おかしくないよ。」
「君もね。」
にっこりと笑えば夏目もぎこちないながらも笑い返してくれる。
まだ、時間がかかる。
いきなり現れた奴に妖怪が見えることをおかしくないと言われ、受け入れられ、戸惑っている。
マンガで知っているからこそのオレの対応だが、なんにも知らない人はこうはいかないんだろう。
知ってるオレにだから出来ること。
知ってるからこそ支えられる。
「ふふ、」
「…どうしたんだ?」
いかんいかん、つい嬉しくて笑みが漏れてしまった。
「いや…、君とは気が合いそうだと思ってね。よろしく、夏目。」
「!よろしく…、桜井。」
手を差し出せば、ゆっくりと握り返してくれた。
「あ。」
「?」
オレの呟きに首を傾げた夏目。
うん、そんな顔も可愛いよ。
じゃなくて!
オレの家どこよ!!!!?
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