夢の世界へいざ行かん!
□colorless blue
1ページ/4ページ
「あー………終わった。」
何がって、期末テスト。
「心結あんたまたパンなの?」
昼休み。
コンビニの袋を持って茉咲ちゃんの机に向かえば、気付いた茉咲ちゃんが呆れたように口を開いた。
「シール、集めてるんですよ。」
パンやおにぎり、お弁当に付いているシール。
30点集めれば絵皿がもらえる例のあれ。
「ふーん。で、今何点なの?」
「22点。」
「もうすぐじゃない!」
「そうなんですよ。祐希には負けられないですから。」
「ゆーき…弟の方?」
頷いて肯定を示す。
「祐希と競争してるんです。先にシールを集めたほうが勝ちで、マンガ一冊買って貰えるって。」
「よくやるわね…。」
呆れた茉咲ちゃんとランチタイム開始。
「でもゆーき、ずるいんですよ。自分一人パンじゃ飽きるからって悠太兄ぃと愉快な仲間たちにも協力してもらって、ローテーションでシール集めてるんです。なんだか学食にハマってるらしくて。」
「ふーん、学食行ったことないわね。」
「私も行きたいんですけどね、祐希みたいに卑怯な手は使いたくないんで。」
もっさもっさとパンを食べ続ける。
「あー、明日は何のパンにしようかな…。」
青い空を飛ぶ自由な鳥のように。
「早くパンの呪縛から解放されたい…。」
自分で始めたことでしょ、という呆れたツッコミは聞こえません。
.