棘の道を突き進め!

□色気
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「ねえゆーた。」

「はい。」

「今すぐ抱きたい。」

「……………はい?」















事の発端は数時間前。

「あれ、悠太くんそれ持って帰るんですか?」
「うん。ちょっと着てみようと思って。」

そう言って家に持ち帰ったのは茶道部の新しい着物。
着てみていろいろと調節しようと考えていたのだが。

「…ゆーた、なにそれ…。」

部屋で着替え終わったところに、千鶴と本屋に寄ると言っていた祐希が帰ってきた。

「あ。ゆーきおかえり。」

着物の帯をキュッと締めて、部屋に入ってきた祐希を振り返る。

「……………。」
「祐希?」

俯いてなんの反応も示さない祐希に首を傾げる。

「ねえゆーた。」
「はい。」
「今すぐ抱きたい。」
「……………はい?」

上げられた祐希の顔は真剣そのもので。

「だってゆーた、帰ったらエロいカッコしてんだもん。」
「エロいって祐希くん、茶道部の着物ですけど。」
「それがエロいって言ってんの。もうね、隠しきれてないよ?ゆーたの色気。」
「色気なんか隠してるつもりも出してるつもりもありません!」

ジリジリ距離を縮めてくる祐希に後退っていれば、トンッと背中が壁にぶつかる。

「ちょっ、近い近い近い!」

気付けばすぐそこに祐希の顔があって、


「ん…っ、」


唇が触れた。


「ね…、悠太。抱いていい?」

耳元で甘く囁かれて。

「っ…、着、物っ、新しいんだから汚したら怒るよ。」
「ん、それはゆーた次第。」

スルッと胸元に入れられた祐希の手に、あっさり意識が奪われた。







END.
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