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□大騒ぎのキノコ狩り
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季節は秋。あの館事件から1年、そして船事件から2ヶ月が経とうとしていた。まどか町に山は一つも無いが、僕は今、綺麗な紅葉を見ることが出来ている。

「キノコめっちゃある!ほら、レミ君!こっち来て!」

僕、カリン、エリカ、ユキ、サキト、カイ、クレア、アヤ、アキ、カエデ、タクト、ジェイの12人で、車で1時間ばかり走ったところにある山へ、キノコ狩りに来ていた。

発案者はカリン。都合が悪く、冴木や下村達は来られなかったが、かなりの人数が集まった。ジェイやサキトは、「ガキじゃあるまさいし…」ぶつぶつ言っていたが、何だかんだで来た。サキトに至っては、車の運転までしたぐらいだった。カリンとの婚約の延長で問題は何も起きなかったらしい。

「松茸もあるみたいだからね、皆頑張ろうっ!」

「わあ!あたし、松茸とか食べたことないよ!わくわく!」

「私も無いなぁ…美味しいのかな」

「や、香りを楽しむから、味はそんな期待しない方がいいんじゃない?慣れないとあんま美味しくないよ」

「そうね…料亭とかで何度か口にしたけれど…」

「っち…ボンボンが」

「んー?ジェイくん何か言った?僕、しがない作家です、ぬはは」

カリン達が盛り上がっているのを傍らに、辺りを見回すと、パッと数えただけでも結構の種類のキノコが至る所に生えている。中には毒々しい色合いのものもあり、僕にはどれが食べられるのかすら分からなかった。分かるのは…椎茸くらい。

「よぉ、荒川零弥。ボンボンは放っておいて、俺らで寂しく狩ろうぜ」

「ジ、ジェイさん…」

「おい、そこらへんの貧乏ども。仲間に入るなら今だぞ。カイと…なんだっけ、クレイジー温子?も来いよ」

あっ…それは禁句…

「だああああれがクレイジーじゃあああ!」


「うおっ!」

「お、落ち着けよクレア…」

ジェイは何でいつもにも増して口が悪いんだ。

「もう!ジェイったら!」

「あ"?なんだよ」

「なんだよ、じゃなくて!仲良くしてよっ」

「あー、っるせーな」

「ああ…レイ様がいたら…」

冴木がいないと、まとめ役はカリンが担うのか。そう考えると、彼の不在が改めて感じられる。大企業の社長ともなると、キノコ狩りなんてやっている暇はないのだろう。

「……あの、皆さん」

口を開いたのはアヤ。存在感が無かったから気づかなかった。…僕ってちょっと酷い。

「あそこにいるのって…もしかして冴木さん達じゃないですか?」

皆が一斉に振り向く先には…
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