物語部屋T
□好きな人には御注意あれ〜前編〜
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「ルル、最近綺麗になったわね」
学校帰り、ルルとアミィはカフェに寄っていた。
運動部のマネージャーをするルルと文化部のアミィでは帰宅が同じとき事等、殆ど無い。
それが今日は部活が早く終わり、ルンルンと一人歩いていたルルが少し先を一人で歩いているアミィを見つけて駆け寄り、共に帰ろうと誘ったのだ。
突然大きな声で名を呼ばれ、ビクッと体を震わせたアミィであったが、声がルルのものだと分かると穏やかに笑みを浮かべて共に帰宅する事を喜んだ。
そうこうしている内にルルがちょっとだけ寄り道したいの、とアミィの手を握って入ったのは女の子同士でも喜んで入るようなピンクを基調とした綺麗で可愛らしい内装のカフェだった。
初めて入ったアミィが感嘆の声を上げて、良く知っていたわねと言えばアルバロが教えてくれたのと頬を染めて答えるルル。
アルバロの名を出すときに見せる笑顔はとても可愛く、そして綺麗だとアミィは思っていた。
「そ、そんな事ないよ・・・・・!!」
急にどうしたのと頬を赤らめながら訊ねられ、きっとそれはアルバロさんの御陰なのねと微笑めば更に顔を紅く染めて、誤魔化す為か蜂蜜たっぷりのミルクティをストローで吸い始める。
そんな姿でさえ可愛いと思えて、アミィの穏やかな瞳はまるで妹を見つめる姉のようだ。
一度だけ、アミィは手を繋ぎ共に歩くルルとアルバロの姿を見た事があった。
やけに派手な恰好で目立つ人だと云う印象がある。
どちらかと云うと今のような昼間ではなくて、夜が似合いそうな人だとも思った。
けれど隣にいるルルが太陽のように眩しい笑顔を浮かべ楽しそうに話しかけていて、それに相槌を打つアルバロの優しい微笑みに、この二人は御似合いだと思った。
ルルが綺麗になっていくのも頷ける、とも。
「ううん、綺麗になったわ。
それもアルバロさんの御陰なのね」
アミィの言葉だけれどその名が出れば音をたてるように頬を染めて、小さく、本当に小さくありがとうと呟く。
うふふと嬉しそうに笑うアミィはまたここにルルと一緒に来たいと思いながら、温かいレモンティーに口をつけたのであった。