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□王子に恋する幼女の未来予想図
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こっちをむいて、ルルをみて、と自分の脚辺りで聞こえたが、聞こえていないふりをしている。
「アルバロ!アルバロ!!」
襟元を直し、気付かぬふりに徹する。
ねぇねぇアルバロ!と呼びかけられても一向にルルを見ようとしない。
「うー・・・」
不満です、泣きますよ?アルバロの嫌いな子供の泣き声で喚きますよ?と唸り声と視線で訴えかける。
あぁ、面倒だ本当に面倒だ。
けれど泣かれたらもっと面倒な事になるのは分かりきっている。
大げさな溜息を吐き、仕方ないと視線を向ける。
「なぁに、ルルちゃん。まだ俺に何か用かな?」
すれば泣きそうであった顔は何処に行ったのか、再び蜜色の瞳を輝かせ、満面の笑みを浮かべる。
「あのね、あのね、アルバロはね、ルルのおうじさまなの!」
「そっかそっか、違うけどね」
「だからね、ルルもね、いつかおひめさまになってね、アルバロにおむかえにきてもらうのっ」
また始まった、この遣り取り。
そろそろ飽きてきたんだが。