小説

□GOD-SERVANT@
1ページ/3ページ

何年か前、ある一族が滅んだと聞いた。彼等はどの一族よりも強く、そしてどの一族よりも少なかった。

彼等は一人残らず虐殺された。


とても大きな町の中で、一際目立つ人がいた。全身黒いローブのようなものをまとい、頭までフードをポッカリかぶっている。
その人が路地裏に入っていった。私は何故だか、慌ててついて行った。
細い道を通り抜け、角を曲がった。その瞬間、強い風が吹いて私は目を閉じた。
そこにはもう、誰もいなかった…。

「何だったんだろうね、あの子…」
澄みきった、とても透明感のある声が聞こえた。その声の主は、さっき自分をつけて来た少女の遥か上空にいた。
見た目は、17歳くらいで、身長は160弱。
「ま、俺の邪魔をしないならいいけどね」
そう言った後、少年は町で一番大きな時計塔へ飛んで行った。

その後、残された少女が空を見上げたが、何も無かった為、町の中へ戻って行った。


「いやー、この町は大きいね。」
少年は、時計塔のてっぺんにいた。羽織っていたローブを脱ぎ、肩にかけている。
「それにしても、町は大きいのに人通りが少ないなぁ…って、ん?」
何やら下の方が騒がしい。
「何があってんだ?」
少年が下を見ようとした瞬間、足が滑り時計塔から落ちてしまった。
少年は、騒ぎが起こっていた中に落ちていった。

「ぐあああぁぁぁぁ!!!俺の腕があぁ!」
突如町の中に響いた声に、人々は驚き振り返った。
そこには、一人の男とその回りに複数の人間がいた。
「はっ、痛いか?お前が俺らに逆らうから行けねーんだぜ」
回りを囲んでいる奴等の中で一番大きな男が言った。
その男が持っている刀には、赤い血が滴っている。
「そんな…私はそんなつもりじゃ…」
腕を切られた男が言った。だが、刀の男はそれを無視して、
「そうだなぁ、これからは逆らえないよう、足の2本くらい切っとくか…?」
男は腕を切られた男を見てニタリと笑った。


『ダアァァン!!』
刀男の上に、いきなり少年が落ちてきた。
「なんだコイツ!どっから落ちてきた!?」
回りを囲んでいた人達が騒ぎ出した。
「あー、よかったー。下にクッションがあって…って、あらら。人だった。大丈夫ですか?」
少年が退けた。だが、刀男は完全に伸びている。
「あっちゃー。どうしようかなぁ…うーん」
全然困っているように見えない。回りを囲んでいた奴等が、はっと我に返った。
「小僧!!そこを動くな!」
「ん?何で?」
少年が立ち上がろうとした瞬間、刀男の仲間と思われる奴が、少年に向かって刀を突き刺そうとした。

『ガキィィィン』
男の刀が空を切った。少年は男の後ろに微笑んだまま立っている。
「危ないなぁ、そんな事したら大変な事になるよ?たいして上手くないんだし」
これにはさすがの男もキレた。
「ガキィ…そこを動くんじゃねぇぞ」
「あらら。怒っちゃいましたか」
少年は依然とニコニコしている。
「だりゃあ!」
男が切付けにかかった。

『ダァァン』
一瞬何が起こったのか分からなかった。だが、すぐに結論が出た。数秒後、男が空から落ちてきたのだ。
「がはっ」
そう言って男は動かなくなった。
「だから言ったのに、危ないって」
少年が回りの奴等に振り返った。するとそいつ等は叫び声をあげて逃げて行った。
「俺は化物かよ…」
少年がポツリと言った。そして、いじめられてた男に向かって歩き始めた。

「うあぁ!!寄るな化物!!」
少年が足を止めた。表情は微笑んだままだが、どこか寂しげに見えた。

少年が群衆を見渡した。群衆はみんな彼から目を逸らした。

「困ったなぁ。今日泊まらなくちゃいけないに」少年がポリポリと頭を掻く。

「あの…」

一人の少女が少年に声をかけた。少年と同じくらいの歳に見える。
「私の家に泊まりませんか?」
怖々と少女が言った。
「ありがとう。助かったよ」
少年が嬉しそうに笑う。
「いいえ、町の人を助けてくれたんだから当たり前です。」
少女はこの町の長の娘だった。目鼻立ちがはっきりしていて髪を上の方で結んでいる。名は`スズ'というらしい。
スズは少年を見て言った。
「今日はここに泊まってください」
少年は嬉しそうな顔で
「ありがとう。そうさせてもらうよ。俺は`リオン'て言うんだ」
そう言うとリオンが立ち上がった。
「どうしたんですか?」
スズが少し驚いた様子で言った。
「外になにかいるね。さっきの人のお友達かなぁ」
リオンがにこやかに言った。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ