幽霊相談事務所

□私と老婆と青年と
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私と老婆も青年に背を向けて、何とも言えない気まずい雰囲気が辺りに漂う。そんな中、老婆がふと言葉を洩らす。


『それにしても、お前さんが若い女の子を連れてくるなんて珍しいねぇ……もしかして彼女』


「違います。コイツが勝手に迷い込んで来ただけで……――今回もあの件の事で此処に来たんですよね? その話は、コイツとの話をケリつけた後にしますから」



おい、そこの女。



不意に青年が呼び掛ける。

……そこの女って、私のことだよね?



「さっきは只じゃ帰さないと言ったが……助けてくれたことに免じて、今回は特別に見逃してやる」



「……へぇっ?」



私は思わず振り向く。



「っ!? なっ、こっち見んな馬鹿ッ!!」




ぼむっっっ




「ごふっ!?」


その瞬間、私の顔面にコ■助がクリーンヒット。何もそこまで恥ずがしがらなくても……乙女の女子高生ですか、貴方は。

再び彼に背を向け、自分の顔に張り付いたコ■助を引き剥がしつつ私は尋ねた。



「……もし助けてなかったら、私をどうするつもりだったんですか?」



その問いに対し、彼は少し間を置いて考える素振りをする。



「そうだな……記憶を失うくらいボコボコにするか、毎晩幽霊の姿で夢枕に立って脅すか、それとも―――」


「………」


あぁ、やっぱり恩というのは売っておくべきだな。


内心ほっとした私に対して、" 但し、 "と念を押して彼は付け加えた。



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