まともに前を見ず考え事をしながら歩き続けた結果、私は楠木に顔面から衝突――そして私の目の前で星が数個弾けた。
「ぁぅぁぅぁぅ……☆」
『" ぁぅぁぅ "とか言うんじゃない。アシカじゃないんだから……』
青年は前に視線を向けたままピシャリと言い放つ。その言葉に若干凹みつつも私はぶつけた鼻を押さえ、彼の視線と同じ方向を見やる。
そして―――
「っ!!」直ぐ様青年の背後に身を隠した。
私の目に飛び込んできたのは……先程の、青年の死体。あの時私が揺らして倒したまま、一ミリも動いていない。
―――どうしてあの時、直ぐに気付かなかったんだ。
生気のない肌、紫色の唇、全く動かない上半身、そして……何処と無く醸し出されている不気味で冷たい雰囲気。
何処をどう見ても死体じゃないか。
「っ……ひぇ……」
恐ろしさに震えている私をそっちのけで、青年は死体に向かって歩き出した。
(ちょっ……!)
→取り敢えず見守る!
ムカついたから殴る!
怖いので抱き着く!