怨霊といえば「菅原道真」や「平将門」等が有名だったような……。

中学の時に歴史の授業で習った気がするものの、残念ながら私の記憶力ではボンヤリとしか思い出せなかった。





（怨霊……。そう言えば、今までああいう怖い幽霊に出会ったことはそんなに無かったっけ）



――いや、世の中色々な事情で亡くなった人も沢山居る訳だし、むしろ今まで私が見掛けなかったのが不思議なくらいだ。

もしかしたら、お兄ちゃんが側に居てくれた事にも関係があるのかもしれない。




（結局出会ったのは怖い幽霊だけ。お兄ちゃん、見付けられなかったなぁ……）





そうやって色々考えながら歩いていく内に、木々の間から見覚えのある家が見えてくる。

その時、自分が生きて此処に帰ってきたという実感と、言葉に現せない安堵感が胸に広がった。


ドアを開けたヒイラギ君に続いて私も家の中に入る。「ギギィィィッ」とドアの軋む不気味な音が、今では「おかえりィィィッ」と言っているような気がしてならない。



…………。

流石にコレは気のせいか。