幽霊相談事務所
□忍び寄る影
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キィ―――
(抜き足、差し足、忍び足……)
なるべく音を立てないよう静かに隠し扉を閉め、注意深く部屋をキョロキョロと見渡す。泥棒にでもなったような気分だ。
「―――っ!?」
ベッドの上に未確認生物発見―――!!
……と思いきやヒイラギ君だった。
ベッドの中心に丸っこい膨らみが静かにただずんでいる……頭上の方にはほっぽり出された枕が。どうやら、布団を頭まですっぽり被って身を丸めて寝るのが彼流らしい。
(息苦しくないのかな……っていうか、次の日体痛くなったりしないのかな)
色々と疑問は浮かぶものの……しかし困った。これでは彼が本当に眠っているのかどうか判断し難い。
ちょいんちょいんっ、
静かに歩み寄り、試しに背中を指先で突っついてみる。―――……。返事はない、まるで只の屍のようだ。
彼が熟睡していることを確認し、私はそのままそっと家を後にしたのだった。