幽霊相談事務所

□忍び寄る影
3ページ/13ページ



キィ―――


(抜き足、差し足、忍び足……)



なるべく音を立てないよう静かに隠し扉を閉め、注意深く部屋をキョロキョロと見渡す。泥棒にでもなったような気分だ。



「―――っ!?」



ベッドの上に未確認生物発見―――!!
……と思いきやヒイラギ君だった。


ベッドの中心に丸っこい膨らみが静かにただずんでいる……頭上の方にはほっぽり出された枕が。どうやら、布団を頭まですっぽり被って身を丸めて寝るのが彼流らしい。




(息苦しくないのかな……っていうか、次の日体痛くなったりしないのかな)




色々と疑問は浮かぶものの……しかし困った。これでは彼が本当に眠っているのかどうか判断し難い。




ちょいんちょいんっ、




静かに歩み寄り、試しに背中を指先で突っついてみる。―――……。返事はない、まるで只の屍のようだ。

彼が熟睡していることを確認し、私はそのままそっと家を後にしたのだった。



次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ