幽霊相談事務所
□忍び寄る影
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「いずれ言うから、今はまだ聞かないで欲しい……」
ずっとその一点張りで、何も教えてはくれなかった。
(いずれ言う、って言われても……)
お兄ちゃんが行方不明になってから、もう三日目に入ろうとしているのだ。流石に説明も無しで" いずれ言う "では納得がいかない。
いつまでも此処の家にお世話になるわけにはいかないし、何よりお兄ちゃんの身が心配だった。
――くっ、仕方がない……。
ヒイラギ君に教える気がないと言うのなら……!
「―――喝ッッ!!!」
ぶわぁっっ!!! と布団を脱ぎ捨て旅行鞄から懐中電灯を引っ張り出す。カチ、カチ、と懐中電灯が点くことを確認し、私は寝間着のまま部屋を飛び出した。