幽霊相談事務所
□兄を探しに…
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「お兄ちゃん、おにーちゃーん!」
私は荷物を持ちながら辺りをキョロキョロ見渡す。ザッ、ザッ、ザッ、と草をかき分ける音が辺りに響く。自分の声が反響してくるのも聞こえてくる。
しかし、どんなに見渡してもお兄ちゃんの姿は全く見当たらなかった。
空は黒い雲に覆い尽くされており、今にも泣き出しそうだ。
私も、泣きそうだった。
「お兄ちゃーん……──あっ!」
私は子供のように、ぱぁっと顔を輝かせてサカサカと一本の木に駆け寄る。
「お兄ちゃんみーつけっ! ……あれ?」
期待は直ぐに裏切られた。