幽霊相談事務所
□夏の始まりと出会い
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右を見ても木。
左を見ても木。
前を見ても、後ろを見ても木。
とにかく視界いっぱいに広がる木々。
そして緑、緑、とにかく緑。
ギラギラとした太陽が木漏れ日となって優しく降り注ぐ。忙しく鳴いている蝉の鳴き声をBGMに、私は一枚のチラシを握り締めて途方に暮れていた。
(あれ……? 道に迷ったのかなぁ、どうしよう)
心の中で呟いても、それに答えてくれる声は蝉しかいない。
何故、私はこんな自殺スポットのような樹海の中を彷徨いているのか。
事の始まりは一週間前に遡る。