幽霊相談事務所

□戸惑いと抗い
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「お兄ちゃん……ですか?」


漸く、ヒイラギ君はお兄ちゃんの事について何かを話してくれる気になったらしい。

もうすぐお兄ちゃんに会えるかもしれないという期待と、それを打ち消すように沸いてくる不安感。



早く聞きたい。

でも、聞きたくないような気もする……



「昨日も少し話したが、お前の兄はあの場所の幽霊達に巻き込まれている可能性が高い。それ以外に、ここ数日姿を現さない理由が付かないからな」


「……」



ある程度想定していた通りの話に、私は特に驚くこともなく冷静に彼の話に耳を傾けていた。

そしてすがるような思いで問い掛ける。




「私は……一体どうしたら良いんですか…………?」




お兄ちゃんが何か大変な事に巻き込まれている。私に出来る事があるなら可能な限りしてあげたいし、力になりたい。

彼ならきっとその手立てを知っているに違いない。そう考えて故の問いだったのだが……。





「いや、それに関してはそこまで難しい事じゃない。恐らくあの幽霊達は、浦見さんの娘の影響であの場所に留まっている。彼女の問題を解決しさえすれば、お前の兄も簡単に見付かるだろうから……」


「――へっ?」





へにゃへにゃへにゃ……


緊張の糸が解れどっと疲れが押し寄せてきた拍子、私は力なく机に突っ伏した。




(な、なぁんだ……。あんまりにも難しい顔で話し始めるからもっと深刻な事態になってるのかと……)



ホッと安堵の溜め息を吐き出した私に対し、ヒイラギ君は険しい表情を崩さないまま「まだ話は終わっていない」、と小さく付け足した。



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