幽霊相談事務所
□心の闇
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クスクスッ……
「なぁ、アイツの噂知ってるか? 元3組の早川美風って奴」
「あー知ってる! 確か昔に兄貴が死んだって聞いたけど……」
同級生達の笑い声と共に脳裏に甦る、幼い頃の記憶。……出来れば思い出したくない、ずっと胸の奥に仕舞い込んで忘れようとしていたもの。
周囲から注がれてくる異様な視線。そして窓の外から聞こえてくる子供達のはしゃぎ声……私は1人、教室の隅の窓辺から静かにその様子を眺めていた。
「アイツ行動が変だろ、何も無いとこに話し掛けたり急に笑ったり……幻覚が見えるんじゃないかって噂だぜ?」
「え、何だそれ恐ぇな……アイツ見た目はまぁまぁ可愛い子だと思ってたんだけど。――あ、こっち見てる……ってか来た」
「……何か用かよ、早川」
「あ……あのね赤坂君、60歳くらいのお爺ちゃんが赤坂君の後ろに立ってて『最近お前のお母さんは体調が良くない、もっと大切にしてやれ』って……」
この時私が指差した方向にあったのは、少年達の背後に存在している1人の老人の影……しかし、彼らはその存在に全く気が付いていない。
私が教えてあげなきゃ。
そう思っての行動だったのだが……