幽霊相談事務所

□夏の始まりと恐ろしい出会い
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2週間前――




「あのねお兄ちゃん、彩花から良さそうな物件を紹介して貰ったんだけど……」



美風がそう言って俺にチラシを見せてきたのは、丁度美風の学校が夏休みに入る間際の頃だった。



『……は?』



思わず間抜けな声が口から洩れる。


脳内に色々と疑問は浮かびつつも、取り敢えずチラシを受け取り、まじまじと裏表を確認する。――このチラシ白黒写真だし、何かやけに紙が茶色くてボロいような気が……否、そんな事よりも。




(何で美風が物件なんかを探す必要が……、――……っ!)




心当たりと言えば、やはりアレしかない。



『まさかお前、この前俺が間違って美風のプリン食ったことまだ怒ってるのか……。あれは本当に悪かったと思ってるから! だから家出なんて止め……!』


「そんな訳ないでしょ! まぁ怒ってると言えば怒ってるけど……。ほら、私も来年高校3年生になる訳だし……夏休みの間に苦手を無くす為にも、集中して勉強出来る環境に行きたいなぁって思って」


『……!?』






じぃぃぃぃぃいいいいん……





―――嗚呼。

いつの間に美風はこんなに真面目で勉強熱心な子に育ってくれたんだろうか。兄ちゃんはとっても嬉しいよ……


心の中でそれはそれは深く感動しつつも、俺はふと思い浮かんだ疑問を投げ掛ける。



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