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ある程度眠った時、目が覚めた。

今は5限目。だから体育だ。
いまからグランド言ってもあの教師うっせぇだけだから、サボろう。

とにかく教室に帰ろうと思った俺は、
屋上の重い扉を開け、階段を下りた。

コツコツ言ってる俺の足音。
ヒール履いてるわけじゃねぇのに…。

そして空き教室を通り過ぎようとした時、

ガゴゴン!!!

・・・え?何だ?

空き教室から物凄い音がした。
誰かが机にぶつかって机が激しく倒れるような…。

そんな音が。

謎に思った俺は、前の扉のガラスから中を覗き込んだ。
その時視野に入った現場。


・・・ふ、藤井!?

アイツ、何やってんだ…?
片手をグーにして、1人の男子生徒に近付いて行く。

待てよ、向こう側で転げてる男子生徒の頬…。
真っ赤っかだ…まさか、あのヤロー!

その男子生徒はきっと藤井に殴られたのだろう。自分の手で殴られた方のほほを抑える男子生徒。

アイツ…もう一発殴るつもりか?

しばらく様子をうかがう事にした俺は、2人の行動を観察していた。

藤井は男子生徒の前でしゃがみ込むと、何かを耳打ちしたようだ。
すると男子生徒は泣きながら何度も頷くと、
勢いよく後ろの扉から飛び出していった。


「…アレ?赤井」

「藤井…先生」

「あーあ…見られちゃった?」


やはりコイツ…二重人格だ。


「先生、何が目的であんな事…」

「理由何か簡単さ」


後ろの扉から出てきた藤井は、俺の方へ一歩一歩近づいてくる。


「うぜぇんだよ。お前も含めて、全員な」


・・・は?

じゃあ、今までの笑顔は?
今までの行動は?
今までの台詞は?
今までの優しさは?

全部全部、…芝居だったって、事?


「何言って…」

「まぁこの性格を知られたからには、赤井もいかしちゃいけねぇな」

「…は?」


っっ!!!

いきなり感じだ左頬の激痛。
そしてこけてしまったお尻への激痛。
軽くめまいがする。

…俺は視界がグルグルするため、左手で頭をおさえた。

んだよ、この激痛…
半端ねぇ痛み…。

そっと顔をあげてみると、すぐそこに藤井が。
そして俺の耳元で一言。


「このままもう一発?それともこの事内緒にして逃げる?」

「…」


何言ってんだよ…
んとに、訳わかんねぇ…


「どーする?逃げる?」

「フッ・・・ハハッ」

「何が可笑しい?」


自分でもわかんねぇ…
でもこれだけは事実。


「お前の本性知れたよ…」

「?、お前、もう一発殴られたいのか?」

「殴れよ…でも逆に、お前の本性言いまくってやるよ。さっきの奴と一緒に」

「んだとっ、お前!!」


次の瞬間、俺は意識を手放した。

ホラ、…見てみろよ。
やっぱり俺、正解じゃん。

アイツ、二重人格野郎だ……。



アイツの本性、まだまだ先がありそうだな。









―続く


2、1つ目の本性(end)



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