上下関係元

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「雫ってホントに
クールだよねぇ」




「そんな事ないよ」




「いやいや、絶対そうだって」




「冷静なだけじゃないの?」





また始まった。
この言いあい。

私がクールかクールじゃないか。


周りの友達はよく言う。
雫ってホントクールだね。 って。


そんなことない。
って言うけど、

こんなタイプの自分が嫌い。

家ではクールでも何でもないし、
明るくて良く笑う。

でも、学校ではなぜかこのキャラだ。


おかげで冷たい事いっちゃうし、
可愛くない事いっちゃうし、

…大好きな人にも、きっと
嫌われてるんだろうな…

って良く思う。






「まぁ冷静でもあるけどぉ〜」




「あるけどなによ」




「ほら!今の喋り方とか!
そのポケットに手、突っ込んで歩くのとか!


なんだかんだ言って顔だよ!
冷静さがあるって感じの、
誰も寄ってくんなって感じの、
でも、綺麗で可愛くて…

んぅ〜!何て言うんだろ!
ストレートの長い髪も!
全部全部クールになるの!雫だと!」




「な、何それ…」





全く可愛くないじゃん!





「それとは逆に、ゆなは可愛いよねぇ。

おちゃめで、誰とでも素直に絡めるし、
いつも笑顔だし、モテルし。

何で私とゆなが巡り合えたのか」




「雫知らないでしょ?
アンタね、思ってるよりかなり人気!
だからね」





お弁当を食べ終わり、
風呂敷に包んでいる最中に
ゆなに言われた言葉。


人気何かある訳ないのに…。






「そう?ありがと」




「もぉ〜信じてよ〜!」




「信じてるよ」




「信じてないなぁ…」





ショボンと落ち込んでしまった
ゆなの頭に片手を乗せ、
頭をなでてあげる。





「ありがとね。信じてるよ」




「…雫〜!笑顔可愛過ぎる!」





反則だよソレ!
とか何だいってるゆなに

ちょっとトイレ行ってくるね

と言って教室を出た。


少し先にあるトイレ。
そこに入ろうとした時





「黄架〜」




と、誰かに後ろから呼ばれた。

誰〜? と思いながら振り返ると、
そこには私の好きな人でもある、
英語担当の教師、
赤井先生がいた。






「あ、先生。どうかしたんですか?」




「あのさ、え〜と…どれだ…
……アレっ?ここにぃ…」




何やら手に持ってる荷物をガサゴソと
あさぐり、
一生懸命何かを探してるみたいだ。





「な、何を探して「あった!」




「はいこれ!、」




笑顔で片手に持ってる何かを
私に突き出した。





「?…コレは?」




「誕生日プレゼント!昨日誕生日だったんだろ?」





そう、実は昨日、私の誕生日だった。
皆いっぱいプレゼントをくれた。

それをきっと見ていたのだろう。


素直に、めちゃくちゃ嬉しいです。





「あ、別にいいのに…」




あーあ。
可愛げのない事言っちゃった…。





「だと思ったよ。でも、
俺が個人的に黄架にあげたかっただけだから。
そこは素直に受け取ってくれよ。
なっ?」




ニコッと
首をかしげてほほ笑んでくる先生を
見て見ないふりをした。





「ありがとうございます。でわ」





そのままトイレに入った。



あーあ、ホントに私って可愛くないなぁ…。
先生、きっと私の事考えて選んでくれたんだろう。


なのに…あんな態度…。






「はぁぁ」







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