上下関係元
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「っ……お前」
「っせ、んせ…」
中学1年生に引っ越しが決まり、大好きな先生ともお別れになった5年前。
そして5年後、高校3年生になった今、また大好きな先生と巡り合う。
「3年4組を担当する先生は、赤井先生です」
体育館でそう聞いた時、ビックリして眠気が覚めた。皆の前に立ち、笑顔で一礼をする先生を見て、間違いない。そう思った。
各自教室に戻り、挨拶をしてから先生は生徒の名前を覚えると言って、名前を言い始めた。
そして私の名前が呼ばれる瞬間
「っ……お前」
私の顔と名前を交互に見て、ビックリな顔をする。
「っせ、んせ…」
やっぱり、先生だ。
中学1年の時、引っ越しが理由で別れた
私の中で大きく大切な存在だった…
赤井先生だった―。
「まさか、ここでお前と会うとわなー」
「だね…何年ぶり?」
「んー、5年ぶり…かな?」
人気がない空き教室で話をする。
ホントに久しぶりだった。
「あれからもう5年も経ったんだね…」
久しぶりのせいだろうか、とてもドキドキする。先生、前より断然かっこ良くなってる。髪も切って短髪寄りになってるし、背も伸びて、筋肉もついてる。
…心臓がうるさいよ…。
「だなぁ……つかお前、綺麗になった?」
「ぇっ…」
ドクンと言う心臓。
身体が一気に熱くなった。
先生が私の胸辺りまである髪を手ですくい、スッとキスをする。
「……髪、伸びたな…」
「あ、うん///」
「はっ、何照れてんの?」
「て、照れてなんか…ッ」
頭をポンポンとされ、思わず息がとまる。
先生がかっこ良くなり過ぎて、直視出来ない。さっきから心臓もうるさいし…。
「ほーら、顔真っ赤だぞ?」
ホッペを優しくツンツンとされ、また心臓が鳴る。
…先生って、まだ私の事…好きなのかな?
そんな疑問が頭をよぎる。
私はもちろん、今も好きだ。
「…俺、」
「…ん?」
突然先生は真剣な顔つきになり、私を直視する。
「まだ、お前が好きだ」
ドクン…
懐かしい。
先生の胸、先生の心臓の音、先生の腕。
抱きしめられてる時にかかる息。
全部全部…私を幸せにする。
「お前が引っ越ししてからも、ずっとずっとお前を考える毎日だった。」
「先生…」
「今何してるんだろぅとか、誰かと幸せになってんのかとか…もう、彼氏でも何でもないのに…」
彼氏でも何でもない……か。
先生に抱きしめられている私は、静かに頷くだけ。必要ない言葉を言いたくない。
「俺、黄架の事好きなんだ…もう黄架は俺の事好きじゃないかもしれない。彼氏だっているかもしれない。でも…」
そんな訳ないよ…
「諦め切れないんだ」
グッと腕の力が強まる。
先生、そんな訳ないじゃん。
私だって好きだよ。先生の事を考える日々だったよ。…
「…私だって、好きだよ」
「ッ!…本当、か?」
「うん、当たり前じゃん」
先生から離れ、ニッと笑って見せると、先生は嬉しさを隠しきれてない笑顔で笑った。
心臓がいくつあっても足りない。
「今日、この後時間あるか?」
「うん、大丈夫だよ」
「じゃあ、久しぶりに家来る?」
「っ……行く////」
「オッケ。じゃあ仕事早めに終わらせるから、教室で待ってろ」
「分かった…」
先生の家…久しぶり。
あ、そうだ。お母さんに連絡入れておこう。
『今日友達の家泊まるから(^^)』
すると、すぐに返事が来た
『了解(^^ゞ』
・・・ごめんね、お母さん。
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