長編、シリーズ
□変わらない、それが二人
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「ビックリしたよ、くまいちょー! 普通じゃん! 普通に笑ってるじゃん!!」
「エヘヘ。 ごめんね私大丈夫だから。」
みんな笑ってた。
一年前、熊井ちゃんは急に姿を消したことなんてなかったみたいに。
高校中で大騒ぎだった。
何より、うちらダンス部は一週間は県内全域を探した。 ポスターも警察にも何度も張ったりお願いした。
でも、見つからなくて…キャプテンの熊井ちゃんが帰ってきたときにビックリさせてあげよう!って一言で曲がりなりにもまた始まった。
うちは何となくサボりぎみなダンス部だったけど、熊井ちゃんの分までって夜遅くまで練習することも普通になってた。
強がりを張り付けた心は埋まらなかったけど、
忘れることなんてできなかったけど……
前を向きだし始めたかもしれない、そんなときに還ってきた熊井ちゃん。
去年卒業したキャプテンの佐紀ちゃんや、ももも遊びに来てた。
うちも、みやも、茉麻も一個したとはいえ親友だったからどっさり抹茶のお菓子とかでパーティをした。
熊井ちゃんの同級生は…あんまり思い出がないのか中島さんくらいしか来てなかった。
まぁこれから増やすよ!ってよくわからないガッツポーズをみせてくれた熊井ちゃん。
一年ぶりの、熊井ちゃんのいる部活。
一年ぶりの、熊井ちゃんがいるうち。
「いや〜それにしても千奈美と熊井ちょーは全然変わらないね。」
「ほんとにそう思うとゆいたい。
まるでずっと一緒でしたよってみたいだもんね。」
「えぇ〜そうかなぁ?」
「でもちぃやつれたね。」
「ちょっとくまいー!そこでそれをゆーなぁっ!!」
「相変わらず、というかなんと言うか……」
みやもキャプテンも苦笑いするくらい変わってないみたい。
確かにそれをいうな、かもしんないけどうちは…やつれたねって気づいてくれたことが少し嬉しかった。
熊井ちゃん。 また変わらない二人でいようね。
「? ちぃ何でにやにやしてんの?」
「なんでもないもんにぃ〜」
そう、変わらないまんまで
……いれるわけなんて、なかったのに…。
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