小説

□早熟
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いたたたた……なーんか体がいたい。



あぁ…変なかっこで寝ちゃったからかな。 こんなに足が近くにあるし。



……ん?



あれ? 私こんなに足短かったっけ?
手も…子供みたい。



胸は……もとからぺったん…謙虚だけど。



というか、隣で寝てるももが成長してる気がする。



お、おおきぃ……



「も、もーも?」



わっ! こ、声が幼い。 オーディションの頃、よりもっとだ。



どうしたんだろう、病気かな。 夢かな?



コロンとこっちを向いて薄目をあけたもも。



き、気づくかな。
こんなにちっちゃくて。



「! あれ? 愛理?」



「も、もーもぉ。 どうしよーって、わっ!!」



いきなり抱き抱えられて全身が写る鏡の前まで来ると……



本当に縮んでる。 幼稚園から小学校低学年くらいだ。



「な、何で?病気かなぁ、どうしようもも!」


「ん………



そんなことより、シャワー浴びたくない?



ベタベタして気持ち悪い。」



そんなことって…



まぁ百歩譲って考えてわかんないとしたってさぁ。もうちょっと考えてくれても。



「ほら、服脱いで愛理。」



脱いでって言われても、服は縮まないから大きいTシャツをギリギリで着てるくらいだから……。



「あ、脱がして欲しいのかな?
ごめんねーお姉ちゃん気づかないなんて。」



「だ、大丈夫だから。
脱・げ・る!」



力を込めてTシャツを上に引っ張るけど、全然上がらない。



「あ、あれ?」



何度力を込めても無駄みたい。 いつも何気ないことだったけどすごいことしてたんだなぁって実感する。



「も、もも? お願いして……いい?」



「まっかせなさい!!」



がっちり服をつかまれて一瞬ではだかにされた。



「ん〜?



愛理、胸は縮まなかったんだね。」



む……。



「ふん!! お風呂入るんでしょ。
早く入ろ!!」


「ハイハイ。」




「はぁ〜♪ 気持ちいい。」



「………」



やっぱりこうなると胸の大きさをすごく意識してしまう。



もともと謙虚…ってもういいか。



「なに? 愛理どうしたの?」



「別に…。」



なんかいつもならもっとこう…甘えやすいっていうか素直にいけるのに、今はなーんかひがんじゃうっていうか、拗ねてる。



おかしーなぁ、子供なら純粋になれるって思ったのに。



「愛理さぁ、反抗期?」



「ふぇ!?」



はん、こうき…?



言われてみれば確かに……でもわかんない。



考えてみると私意外に反抗期なかったかな。



「どうすればいいの?


私わかんなぃよぅ……」



「そーゆー時は、肌と肌をくっつけ合えばいいんだよ。 ほら、安心するでしょ?」



手首を捕まれると簡単に引っ張られてしまう。 ぱしゃんと跳ねる水の間を滑るようにしてももの胸の中へ。



むにゅんと柔らかい感触と、トクン、トクンと規則正しい心臓の音が聞こえてくる。



意地をはってたものが溶けていく。



「もも。 さっきは……ごめんなさい。」



「いーえ♪」



本当に安心する。
ももの優しさ、思いやりが暖かくてほっとする自分。



なんだか…眠く…なる…











「食べちゃいたいなぁ。」







――ん?



「もも? いえ、嗣永さん?」


「やっぱりかわいい時期はかわいい時期に食べるべきだよね、リンゴでもイチゴでも。」



「まだ早いよ!お腹壊すよ!!」



「今日もおいしく、いただき「いただかないでー!!」



「アッーーーー!」



FIN
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