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□君、だけ。
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そのクリクリした可愛い瞳はいつも堕王子ばっかり映して、ため息ばっかり。
ミーの瞳はそんな名前を毎日映してばかりなわけで。

だから、
名前が悲しそうにしてたらすぐわかるし、嬉しい時も一番にわかる自信がある。
名前が悲しいとミーも悲しくなる
早く名前の笑顔が見たいし、名前には笑顔の方が似合うと思う。




だから、
悲しいときはに話を聞いてあげたり、励ましたりしてるんですよー?
ミーが励ましたら、名前は『優しいね』なんて言いますけどー、名前だけなんですよー?
気付いてますー?
ミーは、名前が好きなんですー。




ミーが『ズルイ』のは知ってる。
泣いて、傷付いて、不安定な君が頼れるのはミーだけ。
ミーだけがその悲しみや苦しみ辛さから解放させてあげられる。
そうさせたのはミー。
そう、ミーだけ。

なのに。
なのに、君は手に入らない。

君に触れられるのは今だけ。
サラサラ揺れる頭を撫でるのも、小さな君を包み込むようにギュッと抱けるのも。

そう、今だけ。


そのクリクリとした瞳を潤ませて、涙がこぼれないように必死に笑ってやって来る。
あぁ、泣かせたい。なんて矛盾だろう。
その瞳のダムをも壊してミーのものにしたい。
喉で逆流してくるそんな気持ちを押し戻しながら名前の頭をなでる。


どうしてあのイかれた堕王子なんですかー


もう
「ミーをにしとけばいいじゃないですかー。」

初めて吐き出たミーの気持ち。


驚いて一度だけ大きく開いた目。零れ落ちた一滴の涙。
それは嬉しい涙ですか?
それとも悲しみの涙ですか?

今の。
今の涙は、何という涙ですか?
君のそんな感情はまだ知らない。
知ったか振りの無知なミーにはわからない。

その涙を知るのは君だけ
そう、君だけ。

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