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□眠れない
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ずっとあなたが側にいてくれると思ってた。
学生の時に滅茶苦茶なザンザスの態度にキレて私が喧嘩売ったのがはじまり。
その威勢の良さを気に入れられて、つるむようになってザンザスを好きになった。
ヴァリアーに入るときに告白して、私はついにザンザスのものになった。
寝るときは何時もいっしょでさ、柄にもなくギュッと、そっと抱きしめてくれるんだよ。
そんなザンザスも見た目とは裏腹に温かい手の体温とか、ゆったりした規則正しい呼吸とか。
抱きしめ返せば感じるザンザスの鼓動。
ドクン、ドクン…。
ザンザスを手放せない私。でも、それが幸せにかんじられる。
ザンザスがいるから私は眠れて、明日が来る。
ザンザスの居ない世界に私は生きれない。そう言いきれる。
でも突然、その時は来た。
私は眠れなくなった。
明日は来なくなった。
ずっと「今日」を続けている気がする。
ゆりかごと呼ばれるその事件から、私に夜は来ない。
眠れない
抱きしめられて私の髪に掛かるあなたの吐息が、体温が、鼓動が、匂いが、…全てが私から突如として奪われた。
ザンザスを感じないと眠れない。
それから8年、
眠ることを忘れた女と眠り続けた男が再会した。
絶望から救われた女は抱きしめられた。
あの時と変わらない体温のままで。
やっと「今日」が終わる。
明日がやって来る。
あなたを感じられなくなったあの日から時間が動きを取り戻す。
さぁ、おやすみなさい。
あの日まで。