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□下
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一晩泣いたらスッキリした。殺されるよりましか、なんて普通じゃあり得ない思考を張り巡らせ、プラスに考えることにした。
取りあえず幹部の皆にはお礼と、別れの言葉を言おうと思って部屋から出ようとした。
・・・ら、部屋の前にスクアーロが立っていた。
「う゛お゛おい!昨日はよくも無視してくれたなぁ!」
「あ」
「あ、じゃねぇッ!他に言うことがあんだろぉ゛」
そういわれてハッとする。もしかしてスクアーロ私がヴァリア―をクビになったの知って別れを言いに来たのかな。そうだよ、お別れの言葉だよ私。
「今までお世話になりました。」
ペコリと頭を下げれば、固まるスクアーロ。
「私が居なくなっても元気でいてね!」
「・・・おまえ゛、勘違いしてねぇかぁ゛?」
「何を?」
「昨日、泣いてただろぉ゛?ボスに何か言われたのかぁ?」
え?スクアーロは私が辞めるの知ってるんじゃないの?ま、別にそれはどっちでもいいんだけど、じゃ説明しないといけないの、かな?
「えっと・・・昨日、来週からの任務表を見たら白紙で・・・、荷物まとめろってボスがいってた」
あはは、だからヴァリア―辞めることになりましたって笑ったら、突然スクアーロに手を掴まれて、ボスの部屋まで連れていかれた。
スクアーロが私がさっきいった事をそっくりそのままボスに伝える。するとボスは、スクアーロだけにワイングラスを投げて、出てけと言った。スクアーロが出ていき残された私はポカンとする。
そんな私を見て、ボスはいつになく盛大に笑って机にのせていた足をおろした。
「馬鹿には言葉で言わないと分からないようだな」
何が何だか訳が分からず首をかしげていると、こっちへ来いといわれ、ボスの隣へ行く。
「目が腫れてやがる」
目に向かってのびてきたボスの手で、反射的にギュッと瞑った私の目をそっと触れる。ボスの指、冷たくて気持ちがいい。昨日泣いた分腫れて熱を持ってたのかな。そっと目から離された手を見ていたら、
「じっとしてろ」
今度は目の次に口がふさがれた。ボスの口で。
混乱したままの私の頭が更に混乱を巻き起こす。
「え・・・、ぁ・・・・・・うぉッ!!?」
キス、され・・・た?
「そういうことだ」
「いやいやいや、そういうことがどういうことかよくわかりません!ボス!」
「ハッ」っと馬鹿にした笑いをされたがそれどころじゃない!
「あいしてるって言ってやってるんだ」
「・・・すみません。それと任務表が真っ白な理由がわからないのでs」
「理解しろ」
そう言われて小さい箱を投げつけられる。スクアーロと違ってガラス類じゃなくてよかったと思いつつ当られたものを拾い上げる。
「やる」
よくみるとそれは昨日ルッス姐がボスに渡して欲しいと言っていた箱で、すかさず開けてみると綺麗な指輪が一つ輝いていた。
「俺とお前は結婚する」
「ボス・・・」
俺「は」お前「と」結婚したいとかじゃないんですね。とは敢えて言わない。言えない。あと拒否権無いんですねとも言えない。取り合えずプロポーズされたのは理解した、けど結果として私の任務表が白紙の理由は明らかじゃない訳で。
「あ、あのボ、ボs」
「俺の嫁になるのに働く必要なんてねぇよな?」
「・・・はい」
そういうことか。やっと理解できた。つまり寿退社しろって事ですね。どう考えても無茶ぶり・・・というか強引なボス。まぁ、逆にいえばボスらしいが。
最初から拒否権はないけどそれでも嫌じゃないというか、寧ろ私もそうすること臨んでいる・・・かも?
あーなんかよくわかんない。でも・・・
「まだここに居てもいいんですよね?」
「フンッ、俺から離れられねぇようにしてやるから安心しとけ」
明日からお前は俺のもの。
(ここにいられるだけで、貴方の傍にいられるだけで。それだけで嬉しい私がここに居る。)