Short

□上
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徐々に暖かくなってきて隊服のコートも着る日が減ったなぁ、なんて気がつけばもう4月になろうとしていた今日この頃。
っていっても、ヴァリヤーは暗殺仕事なだけに夜の任務が多いし、隊服のコートとはおさらばしないんだけどね。
来週からは新年度かぁ。一年も早いなぁ。
談話室でボーっと紅茶を口にしていれば、横にベルが来て2週間後から長期任務だって。

「王子に長期任務とか酷くね?」
「堕王子が消えてみんな平和だって思ってますよー」
「うっせ、カエルは黙ってろ!」
「げろっ」

ちょ、ナイフ止めてベル。ビュンビュン私の横を通り抜けるナイフが日常という非日常に馴れてしまった私はちゃっかりソファーへ移動。
そういえば、今さっきので思い出したけど来週からの任務表渡されてない、・・・ってことで貰いに行くか。

「ちょっと、私ボスのとこ行ってくるね!」

と、まぁ軽い抗争中で多分聞こえてないだろう二人に言い談話室から飛び出る。
ボスの部屋はここから少し離れてて、廊下を歩いていたら沢山荷物を持ったルッス姐とばったり会った。

「ルッス姐、何してるの?」
「あらぁ〜、名前ちゃんじゃない。掃除よ、そ・う・じ!来週から新年度じゃない?だから綺麗にしてるのよvV」

私よりも女の子らしいルッス姐に少し感心しつつ、部屋のドアからのぞく人の手足には敢えて突っ込まないでおいた。
そういえば、ルッス姐の趣味がマッチョな死体を集めるだった気がしたからたぶんその手足だろうし。

「そういう名前ちゃんはどっかおでかけ?」
「ううん。来週からの任務表を貰いにボスのところに行くところだよ。」
「あら、そうなの?だったら丁度よかったわ〜!」
「?」
「ふふっ、ボスに届けて欲しい物がさっき届いたのよ〜、・・・はいコレ」

って言われて自分の手を見ると小さな箱がコロンッと一つ。
頼んだわよ〜んとウィンクするルッス姐と別れ、ボスの部屋へ。
ボスの部屋の前で自分の服装をチェックしてからノックをして静かに扉を開ける。
いつも通り返事はないけど、扉を開ければ赤い二つの目がチラリとこちらを見てまた書類に目線を戻す。

「ボス、ルッス姐がこれをボスにだって」

遠慮なく近づいてルッス姐から預かったものをハイっとボスに渡す。
ボスは相変わらず黙ったままだったけど、続けて、新年度の任務表貰いに来ましたといえば、指でソファーの前の机を差す。
すかさず私は自分の任務表を手に取り驚愕する。

「ぼ、ボス?これは・・・?」

「・・・あ゛?そのまんまだ。」

私の任務表には何も書いてなかった。
最初は印刷ミスかと思ったけど、ボスの一言からミスでも嘘でもないことが分かる。
取りあえずどういうことなのか、何が起こったのか全く理解できない私は突っ立っていた。
任務がない。イコール私は要らない、としか頭が機能しない。涙が出てくる。

どうしたら・・・・・・・いいんだろうか。

「急いで荷物まとめろ」

そういわれた私は思わず走ってボスの部屋から出た。

もうここに私の居場所は無いのだろうか。


廊下を走る私を引き止めるスクアーロを無視して、勢いよく自分の部屋に入りベットにダイブ。
来週からはこの部屋もベットも私のじゃなくなるんだと思うとまた涙が出た。

涙で濡れた頬にへばり付く髪の毛がとってもうっとうしかった。

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