文
□オーバーザウォール
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どうでもいいが俺は今、超絶に機嫌が悪い。
何故かって?
そりゃ、あの異様とも言える空気を纏って二人だけの世界を作ってる、石に狂った連中のせいだ。
「こっちもこの前遺跡で拾ったやつなんだけど、珍しいと思わない?」
「ああっ!!これはもしかして未知の石なんじゃ…!?やっぱりあそこにはとんでもない石(たから)が眠っているに違いないよ!!」
「やっぱり!?俺もいつか総発掘してみたいとは思ってるんだけど…」
「フッフッフ…。それは良い考えだね〜。想像しただけで胸が高鳴るよ…」
放課後、少し石研に寄りたいと言う九龍に付き合ってここへ来てから、もうどれ程の時間が経ったのか。
寒い廊下で待つよりは中に入っている方がマシだと思ったのが、そもそもの間違いだった。
さっきから成分がどうだのザラザラがどうだのと盛り上がってるが、俺からすれば不毛以外の何物でもない。
とっとと置き去りにして帰ってやろうかとも考えたが、きっとコイツはそれにすら気付かないんだろうと思うと癪に障り、渋々待つことにしたんだが…。