大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿(21)
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頭がついてこれない状況になれば逆に落ち着くもんだ。


「何があった…」


手当をしながら総悟が叫ぶ。


「毒でさァ土方さん!くそっ、止まらねぇ!」
「ならその外傷はなんだ!」
「人形が自分でやったんでさァ!こいつ、自分の体が毒に耐性あるからって、体よく血抜きで毒消ししやがったんでィ!」


毒に耐性がある。
それはすなわち解毒剤も効かないことを意味する。
毒に体が耐えるまで血抜きをするなど、一体どれだけ抜いた!


いつかこんな日が来るとはわかっていた。
俺達以上に常に危険な場所にいる人形だ。しかし、いつも飄々と仕事をこなし軽口をたたくあいつだ。
どこかで対岸の火事ではないかと。


賭けに出たのか人形…っ!







その後人形は一命を取り留めた。
しかし解毒のために行った血抜きが原因で失明したこと、そしてそのことが原因で近藤さんの執務机に辞表を置いて人形が姿を消したことを俺が知ったのはずっと後だった。









END
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