大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿(17)
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「あぅ〜あ〜」
「よく帰ったな、人形」


近藤さんの腕に抱かれた人形。
その姿を見てようやくほっとした。


「もういいでしょうお師匠さん」


突如現れたのはいつの間にか姿を消していた山崎。


「…仕方ないな」


おっさんは呟くと団扇を翳す。
途端目を開けていられないほどの風が起こり目を閉じた。

目の前にいたのは山伏のような格好をした男。一本歯の高下駄に羽団扇、真っ赤な仮面を付けている。

て、天狗!?


「人形を貸せ」
「な、出来んぞ!」
「大丈夫ですよ局長」


山崎に諭されゆっくりと人形を近藤さんは渡した。


「人形…儂を許せよ。解!」
「きゃふ!…あれ?実家?」


ようやく、見慣れた姿が現れた。


「あ、そういえば山崎ー!あんたいきなり変な巻物見せて!」
「ごめん人形!だって人形のお師匠様に頼まれたから!」
「へ?師匠?」
「先程から居るぞ人形」
「あら師匠お久しぶりです」


人形がようやく天狗に気づき振り返った。


「心配でな、人形。お前が命を預けた者達を一目見たかった」
「師匠…」
「励めよ人形」
「はい!」


天狗はまた団扇を振り俺達が目を閉じているいる間に消えた。

天狗、だよな…どう見ても。


「珍しいな師匠、普通の格好してるなんて」


ようやく一息ついた所で忘れていた痛みが襲ってくる。
思わず腹を抱えてうずくまる。


「大丈夫ですか副長」
「人形てめぇ覚えてんのか?」
「何がですか?」
「いや、いい…」


あの時近藤さんが言った言葉、伝えないほうが身のためだな。







後日…

「ねぇ銀さん、里長ですよね」
「だよな」
「明らかにゴリラアル」

「うほっうほうほ!」
「とりあえず酒すすめられてるから呑むか」
「銀さん、仕事はどうしたんですか仕事は」
「新八ーこの牡丹鍋ごっさ旨いアル」
「うほ!」








END
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