大江戸監察事件簿
□大江戸監察事件簿(16)
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「で、原因は?」
「俺もよくわからないんですが、昨日新しい術の開発すると言ってましたからそれが原因かと…。朝起きたら布団の上にすでにあの姿で」
山崎が視線をやった先には近藤さんに抱き上げられ、ご機嫌で笑うチビ人形。
「これが人形とはなー。俺はいつも真面目な姿しか見たことがないからな、子供とはいえ無邪気な姿が見れて嬉しいぞ」
いつも鼻の下を伸ばして抱き着く人形を真面目と言える近藤さんはすげぇと思う。
「よーし人形ー高い高いだ」
近藤さんが勢いよく上に投げるときゃっきゃ笑う。
「もう一回だ」
ブンッ
「馬鹿近藤さん!力入れすぎだ!」
チビ人形が天井に打ち付けられると一瞬焦ったが…
シタッ
「きゃー!あひゃひゃひゃ!」
天井に逆さまに張り付きやがった。
すでに忍としての能力を発揮している人形に冷や汗が流れる。
「まぁ、こっちの方が問題起こさなくていいんじゃねぇか?」
「た、確かに」
「俺はどちらでも構わんぞ!可愛いしな!はーっはっは!」
ぐぃっ
どさっ
未だ天井に張り付く人形を引っ張り腕の中に納めると人暴れして疲れたのか人形はこっくりこっくり船をこぎはじめた。
「可愛いな」
「まぁ、ガキだしな」
「本当人形天使みたい」
男三人で腕の中の人形を覗く。
とりあえず人形はしばらくこのまま大人しくしてもらうか…。
ガラッ
「局長大変です!人形がいません!」
「拙者、先日の捜査の書類が書き上げられませぬ」
「一人で潜入するにはいささか心細いでござる」
「人形はまた外部へ?」
ガヤガヤ…
「てめぇら、一人で何とかしやがれぇぇえ!!!」
「そんな殺生なァァァア!!!」
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