大江戸監察事件簿
□大江戸監察事件簿(15)
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あれからというもの、変わったことといえば万事屋に人形さんが来るのが多くなったこと。
「マミー今日のご飯何アルか!?」
「今日は神楽ちゃんの大好きな唐揚げだよ」
「キャホー!私マミーの唐揚げ大好きネ!」
「わっ!」
神楽ちゃんが油を触ってる人形さんに後ろから抱き着き、人形さんが腕を鍋に引っ掛けた。
危ない!と思った瞬間後ろから人形さんを抱き込むようにして腕を伸ばした銀さんが鍋を支えた。
「っと危ねぇ。神楽ァ、あんだけ人形が飯作ってる時に近づくなっつっただろ」
「ゴメンなさいアル…」
「ほら、向こう行って定春に飯でもやってこい」
「はーい。定春ご飯ネ!」
何でしょうか。
このTHEファミリーは。
あれ?僕何か幻影でも見てる?
「ありがと、銀さん」
「ったく、お前も神楽に甘ぇんだよ」
「ふふ、でもあれくらい私でも何とかできたよ。これでも監察ですから」
「わかってますよー」
銀さんはいつものけだるげな声を出すと寄り添って、今度こそしっかりと後ろから人形さんを抱き込んだ。
「でもこうするきっかけぐれぇにはなるだろ?」
「馬鹿な男ね…」
アレアレアレ?
僕やっぱ幻覚見てますよね?
銀さんは着痩せするけど実はかなりがっしりしてるし、人形さんは言うまでもなく魅惑的な体つき。
銀さんのフワフワした銀髪が何ものにも捕われない銀さんの性格そのものを表しているようで、人形さんの真っ直ぐな夜のような黒髪が何ものにも染まらない気高い人形さんの性格そのものを表しているようで。
お似合いだと、思ってしまった。
そうだよな。
思えば姉上が近藤さんとくっつけば姉上と近藤さん、人形さんと銀さん、誰も余らずに幸せになれるんだよな。
今こうして銀さんと人形さんはくっついたわけだから、あとは近藤さんと姉上の問題で。
最悪ここがくっつかなくても近藤さんとこの間のお見合い相手がくっつけば……っ!!!
なんて幸せなんだ!!!
俺が幸せを噛み締めて天井を仰いだその時…
ミシッ、ミシミシ
「銀さあああああん!!!」
忘れてた…さっちゃんさん……。
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