大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿(14)
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一考に進まない餅つき。
俺はふと手を休めて昔ながらの作りの窓から煙があがっている家を見た。


「おいババア、お前んちの隣空き家じゃなかったか?」
「ああ、あそこかい?つい最近若い夫婦が越して来たんだよ」


ほー。若い夫婦ねぇ。
こんな所に越してくるなんて物好きもいたもんだな。


「それが旦那の方は甲斐性無しだってのに、奥さんの方はとんでもない美人の器量よしだ。ありゃあ何か訳ありだね」


出たよババアの噂好き。
俺は耳をほじりながら適当に相槌をうつ。


「本人達の話じゃあ仕事先で出会って奥さんは寿退職、旦那さんは事件が多くてまごつく江戸よりかはって退職しちまってここに来たらしいけど、どこまで本当かねー」


ほーん。
まぁ話だけ聞けばよくあるパターンだな。


「アタシの予想じゃぁどこぞの良家の娘と使用人の駆け落ちじゃないかってとこだけどねぇ」

カタンッ


噂をすればなんとやら。
ちょうど話の中心であった家の戸が開いて中からその若夫婦とやらが出て来た。


「それじゃあ行ってくるよ」
「お気をつけて」
「俺がいない間誰も家に上げてはいけないよ」
「わかっていますよ。もう心配性なんですから」
「でも心配なんだ。人形は可愛いからね。俺のいない間にさらわれるんじゃないかって」
「まぁ!」


え?え?えェェェエエ!?
ジミー!?んでもって人形ちゃあああん!!?










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