大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿(13)
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今回の作戦は内側から俺が攻めて、外側を人形が固めるいわゆるあぶり出し作戦だ。
俺がいけると判断した時点で人形に連絡をとって、人形が上と連絡をとり鼠を一網打尽にする。


「おはようございます」
「ああ、おはよう山崎さん」
「川!崎!です!」
「あ、すまないすまない。川崎さん。今日もよろしく頼むよ」
「はい、よろしくお願いします」


この無駄に爽やかな2枚目が庄屋の息子さん。
この工場を管理しているまぁ、社長みたいなものだ。


「本当に何だろこれ」


『Mr.トロ〜ニ』と書かれたラベルが巻かれたラムネ瓶。
一見ただのラムネに見える。
だけど無駄に厳重な取り扱いだし…。


「そういえば川崎さん。この間奥さんに会ったよ」
「え?人形にですか?」
「うん。素晴らしい奥さんだね。僕が言うんだから間違いないよ」
「あ、ありがとうございます」


何だか照れてしまった。
帰ったら人形に報告しよう。きっと照れながら笑うんだろう。
そういえば今日の夕ご飯は何だろうか。
結構寒いから温かいものがいいな。
まあ人形のつくるものはどれも美味しいから何でもいいんだけどさ。
仕事の疲れなんて人形の顔を見たら吹っ飛んじゃうし。

俺って、本当いい奥さんもらったよな…。


と、任務と現実の境界が混ざってきた俺がその後大失敗を犯すなぞこの時知るよしもない。











END
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