大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿(12)
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「ほら呼んでみなせェ、勲」
「い、いさ無理ぶはっ!!!」
「やめて下さい沖田隊長ー!これ以上はマジで人形死んじゃうから!」

段々赤を通りこして青くなってきた人形。
それでもなお必死に食らいつく様子は見るものに気持ち悪さを与える。


「人形、せめてまず名字からでも」
「ハァ、ハァ、名字、こ、こ、こんどう」
「勲」
「ブーッ!!!」
「人形ー!!!」
「ついでに市松勲なんでどうですかィ」
「婿養子最高!!!」


それまで何とか人形は山崎の手を借りて起きていたが、トドメの一撃で再び山崎の腕に沈んだ。
そして隊服のあわせから何かを取り出すとそれを震える手で山崎に差し出す。

何ですかィ?秘伝の書?


「山崎、これを…」
「これ門外不出の巻物だろー!アンタ絶対に誰にも渡すなってこの間お師匠さんにきつく言われてたばかりだろー!?」
「もういいんだ山崎…もういい」
「悟り開いた顔してるよー!?」
「人形、近藤人形も中々いけてますぜィ」
「アンタ本当に消えてくれ!本気で人形殺すつもりだろ!」


おこられちまいやした。てへ。






その後どうしても、と頼み込み局長呼びのままにしてもらった人形だが、近藤さんがどことなく寂しそうにしていたのは知らない。
だが山崎が夜中にいきなり「…近藤さん……うへへへ」と言う声が聞こえると教えてくれた。

まぁちったあ進歩あったと思っておきやしょうかねィ。











END
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