大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿(5)
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「ちょっと頼むよ〜見逃して〜」
「うるせぇさっさと免許証出せ」
「もう銀さん、だからヤバいって言ったじゃないですか!」
「あーもうグチグチグチグチうるせぇなぁ新八!田舎の母ちゃんですかコノヤロー」


原付きの犯人はまあわかっていたが万事屋だった。
ついでに今回は眼鏡とチャイナも一緒だ。
中々切符を切れない俺にいらついたのか人形が前にでる。


「すみません免許証を」
「あれ!?あれあれあれ!?人形ちゃん!?」
「はいそうですけど」


なぜお前が知っている万事屋!!!


「銀さんよ、銀さん。この前はどうもねー」
「はい?…はいお変わりないようで。免許証」


流した。
完全に人形流しやがった。
万事屋は着流しの下のズボンをまさぐる。


「もう人形ちゃんだったら銀さん免許証でもマグナムドライバーでも何でも出しちゃうから」
「きったねぇチンコ出すんじゃねェョクソ天パァァァ!!!」
「ごふぅっ」


まさぐる手が股間にかかったとき、チャイナ渾身の踵落としが決まった。
よくやったチャイナ。


「免許証アル。所で誰アルか?私、お前見たことないネ」
「確かに初めて見る方ですね。綺麗な方ですけど」


寄ってくるチャイナと眼鏡に人形は微笑むと免許証を受けとる。
ちったぁいつもその笑顔見せやがれ。


「ありがとう。私は市松人形。真選組の監察方で仕事してるの」
「ああだから見たことなかったんですね。僕は志村新八っていいます」
「でもジミーはよく居るアルヨ?」
「山崎は、まあ、だめだからね…」
「神楽ちゃん、自己紹介されたんだからしないと」
「私神楽アル!」


何か仲良くなってないですか?
ちょっと、免許証もらったんだから早く切符きらないといけないんですけど。


「あ、神楽ちゃんちょっとじっとしてて」
「何アルか?」


人形は胸元のつなぎめから手を入れて内ポケットからピンを出すと、簡単にチャイナの前髪をとめた。
なんか、ピンひとつで印象って変わるもんだな。


「前髪がはねてたから。よかったらそのピン使って」
「いいアルか!?」
「似合ってるよ神楽ちゃん」


普段全く女っ気ないチャイナがピンひとつではしゃいでいる。


「せっかく綺麗な髪の毛だから、ね?」


微笑む人形は普段の呪いの姿が全く想像できないほど慈愛に満ち足りていた。
思わず、縋りたくなるほど。


「マミー………」









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