大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿39
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自然に、あくまでも自然に。
僕はまず雑誌コーナーに行くと、旅行ガイドの雑誌を手にとる。次に新聞コーナーで新聞を手にする。
そして、も、問題のコーナーに行ってすぐに小箱をとるとレジに向かった。
雑誌と新聞紙の間に小箱を挟んでレジ台に乗せた。

あーレジの人は何て思ってんだろう。コイツ今からしっぽりすんじゃねェの?とか思われているんだろうか。


「か、買えましたよ!」


すぐに帰った僕だけど、なぜか白けた空気が漂っている。


「な、何なんですか!ちゃんと普通に買ってきましたよ」
「普通っつーかなァ」
「おいおいぱっつぁん、それだけはねぇわ」


土方さんと銀さんは声を合わせる。


「「童貞丸出し」」


一生懸命買ったのに、こんなのって。崩れ落ちる僕に山崎さんがよくがんばったよ新八君と背中を撫でた。


「よし、次は俺が行く」


土方さんは襟を正すとなぜか携帯を取り出した。

ダッ

なぜか目的のコーナーまで全力で走る。ちょっと、そんなことをしたら逆に目立って自然とはほど遠くなるんじゃないですか!?

ガッ

今度はコーナーから小箱を勢いよく鷲づかむ。3,4箱が土方さんの電話を持っていない方の手に取られた。
そのままレジに再びダッシュする。というか思いっきり目立ってますよ土方さん!


「おいレジ急げ!」
「は、はい!」


あまりの土方さん勢いに押されてレジ係のおばさんが冷や汗をながしながらバーコードを読み取る。いや、もちろんゴムですけど。むしろゴムしかありませんけど。
というかこれのどこが自然なんですか。なんかすげぇ余裕なくゴム買いに来た人になっちゃってますけど。
土方さんはもう一度電話を耳にあてた。


「おい、指定されたものは買ったぞ!」


こ、これはまさか…っ!


「次は何だ!」

「確認だが人質は無事なんだろうなァ!?」


誘拐犯の要求に従うお巡りさーん!!!
アンタ最低だよ!思いっきり制服と立場利用していかにも「自分のために買うのではない」空気出しまくってるよ!

そして土方さんは再び走ると、そのまま店を出て行った。

あ、もどってきた。


「どうだ」


いや、最低です。山崎さんなんで拍手してるんですか。沖田さんアンタなんで悔しそうにしてるんですか。銀さんなんでアンタ「やるじゃねェか」みたいな誇らしげな顔してるんですか。
というかもう人形さん飽きてお灸のコーナー見てますけど。







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