大江戸監察事件簿

□大江戸監察事件簿28
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その後俺に踵落しをくらわせお風呂に入りにいった人形。
脳天かち割れるって本当…。

まあ俺も夕ご飯前にはと思って大浴場へと向かった。


「山崎じゃねぇか」
「本当でィ」
「どうもご一緒させていただきます」


中の浴場には何人か隊士がいたが、露天風呂には副長と沖田隊長の二人が入っており、俺も中へと入る。
少し温めの温泉に湯の花が浮かび肌を滑る。

ほっこりと全身の疲れが温泉に滲みだしていく。


「失礼致します」
「はーい」


木の壁一枚隔てた隣から女将さんの声と、返事をする人形の声が聞こえた。
俺達3人は見えない向こう側に視線をやる。

そっか、向こう側は女湯で人形入ってるんだっけ。


「どうですかお湯加減は」
「もう溶けちゃいそうです」
「ありがとうございます。大変ですね女性一人」
「そうですねーでもまあ慣れですよ」
「そうですか。では頑張っている女性にこちら当旅館からのサービスです」
「わ!わ!素敵!」


はしゃぐ人形可愛い!
…じゃなくて!一体サービスってなんなんだろう。
俺と副長は顔を見合わせて首を傾げた。


「『白乙女』。やわらかく香り高くて食前酒として最適ですよ」
「いただきます」


サービスってお酒かぁ。
いいなー人形。


「…美味しいっ!あ〜もうダメ〜」


この人形の声で理解した。


「やば…」


人形のスイッチ切れちゃった。









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